- 2007-12-03 (月) 20:00
- 2-あかねの空
○二階の俊介の部屋
畳敷きの四畳半。水色のヘルメットが机の上にきちんと置いてある。天井にバイクメーカーの大きなポスター。壁には古ぼけた京急電鉄のポスター。部屋の真ん中に大の字に寝そべって天井を見上げている俊介。
政也が入り口のかもいに手をかけて立つ。
ひそひそ声に近い声色の政也。
政也「兄貴」
俊介「ん?」
政也「バイク、だろ?」
俊介「まあな」
政也「買ったの?乗ってきたんだろ?」
俊介、起きあがる。政也、部屋に入って俊介の前に座る。
俊介「うん。イイ。免許取ったら、お前も乗れよ」
政也ガッツポーズ。
政也「やった!」
俊介声を潜める。
俊介「おやじには、だまっとけよ」
政也「わかってるって。…あのさ。他にも、なんかあったろ」
俊介、ちらっと政也を見る。
俊介「なんかって、なんだよ」
政也「兄貴さ、バレバレ。女だろ。オレわかるんだよね」
俊介「んだよ」
政也「兄貴のはじめてのときとかだって、すんげー態度に出ちゃってて、勇作さんもオレも爆笑してたんだぜ」
俊介「るせーな」
政也「そんないい女? あ、陽子さんだっけ?」
俊介「ませガキ! そんなんじゃねーよ。バイク、かさねーぞ」
政也、俊介の思いがけない反応にとまどう。
政也「なんだよお。なにマジになってんだよぉ」
俊介、立ち上がると大股で部屋を出て行く。
○俊也の仕事場
町工場の中。狭い空間に、工具類、測定器、材料のカーゴ等が並んでいる。
その奥に、スタンドの明かりがついた、灰色の机が二つ並んでいる。正面の机に座って、険しい顔で電卓をたたいている俊也。優子の運んだ丸盆がそのままおいてある。俊介が入ってくる。俊也、顔を上げ湯飲みをとってお茶をすする。俊介、なにをするとでもなくぶらぶらとしている。
俊介「あれ、勇作さんは」
俊也「便所」
俊介、かるくうなずくともなしに首をふる。
しばしの沈黙。
俊介「あのさ。明日と明後日、手伝うから…」
言い終わると、そそくさときびすを返して退散しようとする俊介。
一瞬の沈黙。
俊也「バイク、気をつけろよ」
○俊介の顔
俊介、顔がほころぶ。振り向かず、歩き始める。
○仕事場の入り口付近
俊介が出て行くところに、勇作が通りがかる。勇作、俊介を見るとニヤニヤする。
勇作「よかったな…、な?」
俊介「うん……。まあ。…!?」
俊介、少し首をかしげる。勇作とすれちがったところで、ぼそっと言う俊介。
俊介「エロおやじ」
俊介、急いで二階へ立ち去る。一瞬の後に振り返った勇作、膝を打って爆笑する。
○俊介の部屋
布団が敷かれ、肌がけから足を出して横になり、天井を見上げている俊介。
俊介「なぁんかな、エロ勇作と政也。そんなんじゃねーよ、そんなんじゃ…」
俊介、目を閉じる。
○(回想)あかねの顔
快晴の空を背景に、あかねのアップ。笑顔。
あかね「イイ色。空の色でしょ?」
○俊介の部屋
俊介、上半身起きあがる。
俊介「くそ! 名前と番号!!」
小さく叫ぶと、頭まで肌がけを被って、後ろに倒れる俊介。
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