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15) あかねの空 快特高砂

○あかねの部屋
看板用の板に絵を描いているあかね。「とれたて三浦の野菜」とカラフルな文字とイラストで描かれている。
あかね「ふぅ」
あかね、筆を置き、脚を投げ出して床に寝転がる。
あかね「つまんないなぁ」
あかね、窓際の机の横の棚にのせた、俊介の白いヘルメットを見つめる。
あかね「!」
あかね、さっと起きあがると、棚の上のヘルメットを手に取り、両手で抱えたまま、床に座って考え込むあかね。
あかね「うーん」
あかね、ヘルメットを床に置き、筆を取る。パレットに水色をつくり、筆で取る。白いヘルメットに空色が勢いよく塗られる。

○あかねの部屋の前
守が部屋の前にやってくる。
守「おい、はいるぞ、あかね」
あかね「はーい」
守、扉を開けて部屋に入る。あかねの作業をみて立ち止まり、眉間にしわを寄せる。
守「なにやってんだ、おまえ」
あかね「うん、ちょっとあきちゃったから」
守「まじめにやれー。ウチの野菜の未来がかかってんだぞ」
あかね「まじめにって…、兄ちゃんにいわれたくないもんっ」
あかね、少しふくれっ面。守、階下に向かって叫ぶ。
守「おふくろ! また、あかね変なことやってんぞ!」
あかね、守の脚をひっぱる。
あかね「変なことやってないよぉ!」
守「じゃ、何よ、このヘルメットは…」
あかね「真っ白じゃ、つまんないかな、と」
守「おまえ馬鹿だべ」
あかね「でも、いいでしょ、これ」
あかね、イラストを描いたヘルメットを手でくるりと回して守に見せる。守、あきれながら見る。
ヘルメットのてっぺんをぬかして、ぐるりに空色が塗られ、ところどころに白い雲の形が浮き出ている。左側に水平線、右側に地平線。水平線から下にはさざ波が立ち、地平線から下は緑色の畝が続く、茶色の畑。海が隠れる丘陵にはミカン畑が描かれている。海から続いてくるように道が延び、左側の畑の前を横切っている。
守、ヘルメットを手にとって、しげしげとイラストを見る。
守「うん。よく描けてっけどよ、なんか足りねーな」
守、ヘルメットをあかねに返す。看板に視線を移す。
守「これに、マスコットみたいなイラスト、あるといいな」
あかね「マスコット…」
守、鼻歌を歌いながら部屋を出て行く。あかね、守に問いかける。
あかね「にいちゃん、何しに来たの?」
守、顔だけ入り口から覗かせる。
あかね「うち、売上、どうなの? …やっぱ…」
あかね、下向きに手を走らせる。守、口端を上げてみせる。
守「いいから、野菜販売所の看板、月曜までにあげとけー」
あかね「はーい、がんばりまーす」
あかね、廊下まで行ってから、部屋に戻り扉を閉める。
あかね「うん。マスコットかぁ」

○ヘルメットのイラスト
あかね、の手が畑に細い筆で、オートバイを描いている。

○あかねの部屋の床
オートバイ雑誌が数冊ちらばっている。紙に書き散らした下書き。

○桑沢家、居間
守が、廊下側をのぞき込むようにしている。安子がお茶を淹れて、守の前に置く。
安子「あんまり、小姑みたいなことしなさんな、守」
守「バイク雑誌みせろって行ってきたんだよな、あかね」
安子「ボーイフレンドがオートバイにでも乗るんじゃないの」
守「おふくろさぁ、心配じゃねーの? あの馬鹿、ろくでもないヤツにひっかかってるかもしれないじゃんよ」
安子「あんたよりかは、マシな人選ぶわよ」
守「お言葉ですけどね、オレはすごいまともよ」
安子「はいはい。由季子さんが居てくれて、ホントよかったこと」
守、むっとして横を向く。

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