- 2007-12-05 (水) 21:00
- 2-あかねの空
○荒崎公園
夕日が沈んでいく銀色の相模湾。
小型の漁船が、港を目指して走る、シルエット。
俊介(声)「大学の途中で、設計の腕をかわれて品川のデザイン事務所に就職した。いずれ親父の後を継ぐことになるって、どこかで思っていた。隣のオフィスにいた原口由香と知り合った。毎日、同じ店で昼飯を食べていて、すごく食べっぷりがよくて、四つ年上には見えない、美人の子だった。なんとなく、話をするようになり、なんとなく、デートするようになった…。いつもと同じに、暇な時間を女の子と過ごしてたつもりだった。三浦で出会った子のことも、考えなくなっていた」
○公園
昼休み時、制服やスーツ姿の会社員が通りがかる。ブランコに腰掛けている原口由香(26)。ワイシャツ姿の俊介が小走りにやってくる。
俊介「おう。待った?」
由香「今来たところ」
俊介「どうした?いつもの定食屋か、仕事終わってから、ホテルじゃまずいの?」
由香「うん…。人の居るところはヤダし。ホテルも…ね」
俊介「なんだよ」
由香「あの、ね。できちゃった」
俊介「え?」
由香「俊介の…」
俊介「え?オレの……って?え?ウソ! あ、こ、こども?」
動揺を隠しきれず、落ち着かない俊介。俊介をじっと表情を変えずに見つめる由香。
由香「産んで、いいよね? 籍入れて…」
俊介「え? ああ、そうか。えっと。何すれば…」
由香「結婚。子供が生まれる前に、ちゃんとしなきゃ。ね?」
公園の時計のチャイムが午後一時を知らせる。
俊介「と、とにかく、頭の中整理してくる」
由香「わかった、あとでね」
○品川駅横のビル
俊介(声)「結局、その日は由香には会わなかった。…会えなかった」
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