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19) あかねの空 快特高砂

○一階の居間前廊下
俊介、手にはヘルメット、Tシャツにジーンズ、ライディングジャケットを羽織る。そそくさと玄関へ向かう。居間から顔を出す優子、お茶碗を拭きながら。

○居間
優子、拭いたお茶碗を食卓の上に置く。
優子「俊ちゃん…、会社休みかしら」

○駐車場
俊介のオートバイ。玄関から出てきた俊介、オートバイのスタンドをはずし、押して道路へと出て行く。遠ざかる俊介とオートバイ。

○表通り
俊介の手がイグニッションキーを回す。セルの音。俊介の右手がアクセルを開ける。規則正しいエンジン音。オートバイにまたがり、後方確認をして走り出す俊介。

○第一京浜
六郷橋の手前で、第一京浜に出て、横浜・横須賀方面へ向かう俊介のオートバイ。空色のヘルメットに朝日が反射する。
俊介「オレ、何考えてるんだ…」

○多摩川
俊介のオートバイが橋を渡る。隣の京急電鉄の鉄橋の上を電車がゆっくりと走っていく。

○生麦
キリンのビアビレッジ前を抜けていく俊介のオートバイ。

○横浜そごう前
俊介、海側に進路を変え、ランドマークを正面に走っていく。

○桑沢家の上の畑
あかねが、朝取りのトマトを収穫している。
畑脇の空き地に、ふた抱えのかごいっぱいの夏野菜。
あかね、景色を見渡していたが、畑の中頃に向かって叫ぶ。
あかね「おとうさーん。ここおいとくねー」
畑の中上半身を起こして、あかねを見る弘。
弘「おー、あかねー、どこいくんだ?」
あかね「ちょっと、海までー」
麦わら帽を被った守が立ち上がり、叫ぶ。
守「あかねー、すぐ戻れー!今日、横浜まで納入だぞ!」
あかね、スクーターに座り、振り返る。
あかね「うーん!わかってるー!」
あかね、スクーターを発進させて、海の方へと走り去る。

○国道134号三崎口駅前
脇道から、国道に出てくるあかね。逗子方面へと下っていく。

○和田交差点-和田長浜海岸入口
あかねのバイクが、交差点を曲がる。和田城跡を過ぎ、砂浜がみえてくる。
開けた砂浜が見渡せるところで、あかねバイクを止め、砂浜へと降りていく。

○和田長浜海岸
静かな海面。砂を洗う波の音。かなり水辺に近いところで砂浜に座り込むあかね。はおっていたウィンドブレーカーのポケットから、トマトを取り出す。海を見ながら、トマトを一口かじる。

○あかねの横顔
トマトに口をつけたまま、じっと前を見ているあかね。朝日があたっている左ほほに涙が一粒ころげていく。あかね、無造作に涙をぬぐい、トマトを思いっきりかみ切る。残りのトマトが手から滑り落ちる。
あかね「…なんで、哀しいんだろ」
あかねの瞳がくるっと動く。次の瞬間、にっこりと笑顔を作るあかね。無造作に涙をぬぐい、立ち上がる。くるっとふりかえって、スクーター目指して走るあかね。

○長浜の入り口
スクーターのセルを回し、いそいでUターンして走り出す、あかね。
みるみるうちに、もと来た道を遠ざかる。

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