- 2007-12-09 (日) 8:30
- 2-あかねの空
○ICUのドア前の廊下
ファイルを持った看護婦が立っている。駆け寄る俊也。
俊也「あ、あの!」
看護婦「嶋原さんのご家族?」
俊也、何度もうなづく。両手が、看護婦の腕にかかっている。
俊也「俊介。あ、あいつ、大丈夫ですか。助かるんですか」
看護婦「今、先生が全力で治療していますから」
俊也「あの、オレの血、全部使ってもいいから」
優子「おとうさん…」
看護婦、ゆっくりうなづく。
看護婦「沢山の方が輸血に来てくれています。お父さんも並んで採血してください」
政也「お、おれも」
看護婦「じゃあ、一緒に」
優子「よろしく、おねがいします」
優子、深々と頭を下げる。
○採血室の列
列の最後尾に、俊也と政也を並ばせる看護婦。
看護婦「ご心配でしょうけれど、気をしっかりしてください。息子さんのためにも」
俊也と政也、無言でうなづく。看護婦、再びICUへ戻ろうと歩き始める。
俊也、はっとした表情で、看護婦を呼び止める。
俊也「あ、あの!」
看護婦、振り返る。
俊也「あの、オレ糖尿と、蓄膿なんだけど、輸血しても大丈夫ですかね」
看護婦、一瞬キョトンとする。
俊也「輸血して、なんか病気になったりしませんよね?」
看護婦、口元を少し上に向け、俊也のところまで戻ってくる。看護婦、まっすぐに俊也を見つめる。
看護婦「大丈夫です。事前の検査もありますから。採血して息子さんを助けてあげてください。とりあえずの治療が終わり次第、手術に入りますから」
俊也「は、はい…」
看護婦、政也に軽く会釈をすると、足早にICUへ入っていく。
政也「おやじ…、しっかりしろよ。兄貴、だいじょぶだよ」
○病院の待合室
夜が明けて薄明るくなった室内。あちこちのソファや椅子に眠りこけているライダーや、その他の人々。
○手術室の前廊下
ソファにもたれて眠る、尚、陽子、佐和子、亮太。優子、眠れずに廊下を行ったり来たりしている。
俊也、ソファで前のめりに頭を抱えて、うとうとしている。政也、その横で携帯電話の画面を見るともなしに見ている。
廊下のはずれの窓から、朝日が深くまっすぐに、廊下に差し込んでくる。
廊下にいた人々が、一人また一人と、顔を上げ、起き出す。
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