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31) あかねの空 快特高砂

○病室
窓際に車いすで入れるくらいの高さのテーブル。上にはパソコンとモデム等の機器類が並んでいる。手にはめた自助具と、少し動く指でキーボードをたたく俊介。
俊介「ふぅ」
俊介、飲み物の入ったボトルから、ベンダーストローで中身を飲む。
病室のドアが開いて、看護婦がはいってくる。
看護婦「俊介くん、根詰めてると、パソコン禁止令だよ」
俊介「んだよ。いいだろ、鬱になってるより」
看護婦「そういうことじゃないでしょ。ほら、ベッドに移るよ」
俊介「へーい」
看護婦「ちゃんと一人で移れるようになった?」
俊介「ならない」
看護婦「ほらまた、そんな簡単に。キントレやってるの?」
俊介「やりました!」
俊介、しかめっ面。
看護婦「俊介くんさ、一人でやれないと、退院できないよ」
俊介「いいよ、別に」
看護婦「ひねくれてたら、誰も手だってかさないよ」
俊介「だから、なに」
看護婦「先生に言われたでしょ、治らないって」
俊介「…」
いつからか、ドアが開いていて、亮太と佐和子が立っている。
看護婦、亮太達に気付き、会釈する。
看護婦「とにかく、ベッドの方に移って、少し休みなさい」
看護婦、亮太と佐和子に軽くお辞儀をすると、病室を出て行く。
看護婦を見送る、佐和子。俊介、車いすからベッドに乗り移る。手を貸す亮太。
佐和子「怒られてたの?」
俊介「いや、いつもあんな感じ」
佐和子「きついこと言うんだね」
俊介「そうでもないよ」
亮太「大丈夫か?」
俊介「全然。ちょっと長く車いすに乗ってただけ」
ドアが開き、医師が現れる。
医師「嶋原くん、どう?」
俊介、顔を上げずに上目遣いで、医師を見る。
俊介「最悪。担当看護婦、変えられないの?」
医師「なんで。山野さん美人でいいだろう」
俊介「うるせーんだもん」
医師「あはは。…そうか」
俊介「そうかじゃねーよ。なにかっていや…」
医師、真顔になっている。
医師「嶋原くん。でも、歩ける確率はゼロだから」
俊介「あんたも…、だったな」
医師「それよりも、やれることを確実にやるようにするんだな」
医師、入ってきたのと同じように唐突に出て行く。俊介、何かを投げつけるマネをする。亮太、出て行く。佐和子、飲み物の入ったボトルを俊介に差し出す。
俊介「むかつくんだよな、…ったく」

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