- 2007-12-15 (土) 20:00
- 2-あかねの空
○京急線車内
車いすの俊介、車いすスペースに収まっている。横に佐和子。 ドアを隔てた席に尚と陽子。横浜駅に着き、客が大勢乗ってきて、俊介と佐和子の姿も見えなくなる。
○京急線車内
尚と陽子の席。
尚「佐和さんは、大丈夫って言ってたけどさ…」
陽子「いいじゃない」
尚「お前はさぁ、俊のこと知らないから」
陽子「お言葉ですけど、昔は俊のファンだったんだから、ちゃんと見てるところは見てました」
尚「んだよ、振られたくせに」
陽子「今の俊の方が、明るくていいな」
尚「あれ、本当の俊じゃないよ」
陽子「…そうだとしても。今は」
尚「なんでだよ」
陽子「外向いてなきゃ、やりきれないじゃない。誰かに手を貸してもらえるように、ネットワーク作らなきゃ、やりたいことまで手が届かないでしょ。パソコン始めたのだって、外に出る機会が少ないからだし」
尚「だからって、どこかでかけるたびにナンパしてくんだぞ、あいつ」
陽子「うらやましいんでしょ、俊ばっかもてて」
尚「うん。…じゃなくってさ、あいつそれで納得してんのかなって」
陽子「尚、そんなこと俊に言っちゃだめよ」
尚「なんで」
陽子「あんた、何にも知らないんだから。佐和子さんが言ってた」
尚「?」
陽子「俊、結婚とか考えてないって。仕事も何やったらいいか、何がやれるのか、ホントのところわからなくて、どうしたらいいんだろうって、亮さんにボソッと言ってたんだって」
尚「そう」
尚、窓から外をながめる。
尚「あいつ、なんにも言わないんだな、オレには」
陽子「ライバルなのよ、尚は。今でもずっと。あんたまで同情する仲になったら、俊もっと辛くなるだけでしょ」
尚、正面に向きなおる。
尚「けど、いいよなぁ…もてて」
陽子、尚をにらむ。
○金沢文庫駅改札
尚と陽子、腕を組んで改札を出てくる。続いて、佐和子。駅員の居る端の改札を見知らぬ若いミニスカートの女性二人に車いすを押してもらって、俊介が出てくる。改札の駅員、山田春彦(30)が声をかける。
春彦「もしかして、Heart of Goldですか?」
俊介「です」
春彦、笑顔で元気よく俊介達を見送る
春彦「いってらっしゃい!僕も後で聴きにいきますから」
○改札脇の通路
俊介が出てくるのを待っている尚と陽子。
尚「ぜったいに不公平だね」
陽子「何が」
尚「だいたいさ、あの娘達、誰よ…」
佐和子がニヤニヤしながら近づいてくる。
佐和子「いやー、話には聞いていたけど、昔風にいえばジゴロだね、俊は。いや、立派」
尚「佐和さん、感心してる場合じゃないっしょ?なにやってたんですか、電車の中で」
佐和子「まあまあ、いいじゃないの。今日はパーティーなんだしさ。さ、いこ、いこ」
陽子、尚の腕を取り、先に歩いていく。佐和子、俊介と二人の女とを誘導しながら、歩いていく。
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