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41) あかねの空 快特高砂

○国道16号線沿いの歩道。
先頭を行く、俊介と二人の女。その先に見えるレストランHeart of Goldのネオンサイン。やがて店のドアから中へと消えていく、俊介、尚、陽子、佐和子、若い女二人、京子(22)とリサ(23)

○ライブレストラン「Heart of Gold」 (夜)
壁に掛かった時計が8時を廻っている。
店内、7割程度埋まっている。 ステージセッティングも終わり、楽器が立てかけられている。ややざわついている。
ルイとあかね、客席の間を廻って、オーダーを取って、カウンター横まで戻ってくる。
ルイ「悪いね、あかね。すっかり手伝いになっちゃった」
あかね「いいよ。兄ちゃんのライブだから。お客さん、たくさん入っているしね。手伝って少しでもお店に貢献したら、学さんに次、演らせてもらえるでしょ」
ルイ「あー、それだったら、あかねがウィンクでもすりゃ、レギュラーとれるよ」
あかね「あはは、そこまで甘くはないでしょ、いくらなんでも」
ルイ「いや、どうだか。かなり入れ込んでるからねぇ、兄貴」
あかね「うふふ」
ルイ「マジな話、守さんトコは、月1で演ってもらってもいいと思うんだけどな」
あかね「兄ちゃん、そんなに上手いの?」
ルイ「このあたりが信じられないのよねぇ。同じ家に住んでるんでしょ、あんたら」
あかね「いや、今は兄ちゃん達は離れの…」
ルイ「ったって、同じ敷地内じゃないの」
あかね「ま、そうなんだけど。だってね、兄ちゃんは不良でさ、昔っから何やってるか全然教えてくれないし、一緒にどこかつれていってもらったことないし」
ルイ「それにしたってさ。レコード出してたことも知らないなんて」
あかね「だよねぇ…。店長がルイに三浦の野菜仕入れたいって話して、ルイが兄ちゃんに話して、兄ちゃんが私に野菜届けろってなって、私がルイに会ったんだから」
ルイ、くすくす笑いだす。
ルイ「前、守さんも言ってたよ、妹は世間とズレてるから、あぶなっかしくて、わかんないって」
あかね「なんだ、それ」
ルイ「どんな子なのってきいたらさ」
学が、厨房から顔を出す。
学「オラ、くっちゃべってないで、手伝えよ。あかねちゃんは、もう座ってていいからね」
ルイ「兄さん、あかねは身内みたいなもんだから、手伝ってもらうから。いいでしょ?」
学「み、身内って。ま、まあ、いずれそうなるかも…ね」
ルイ、あかねをこづく。
あかね「兄ちゃんのバンド、よろしくおねがいしますね」
あかね、かるく首をかしげてみせる。
学「オッケー、来月もスケジュール入れとく」
学、厨房へと引っ込む。
ルイ「ほらね」
あかね「あはは」
ルイ「あーそうそう。守さん、うちの畑のミカンの木みたいなヤツって言ってた。ホントだね」
あかね「ミカンの木みたいなヤツ?」
ルイ「お母さんがそう言ってるんだって?」
あかね「ああ。兄ちゃんまで?」
ルイ「でもさ、あかねって、お日様の光浴びて、すくすく育ったミカンの木みたい、ほんとに」
あかね「子供の頃は嬉しかったけどねぇ。この年になってまだ同じってのは…、うーん」
ルイ「素直でいいじゃない」
あかね「そうでもない、ホントは。なんかさ、苦労知らずの馬鹿娘みたいでしょ、ミカンの木・・」
ルイ「そんなことないよ」
ルイ、ドアが開くのに気付く。あかね、厨房にオーダーを通しに行く。
ルイ「いらっしゃいませ」
ルイ、駆け寄り、ドアを押さえる。俊介の車いすのキャスターが見える。
ルイ「あ、佐和さん。亮さん来てますよ」

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