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49) あかねの空 快特高砂

○桑沢家の茶の間
お茶をいれて、くつろいでいる、安子、あかね、由季子、守。
守と由季子は、コーヒーメーカーで淹れたコーヒーをカップに注いで飲んでいる。
入れ立てのお茶をすすりながら、安子があかねに話しかける。
安子「あかね、あんたもいつまでもフラフラしてちゃ…。誰かいないの?」
あかね「おかあさんってば。兄ちゃんの口車に乗らないでよ」
安子「そうじゃないわよ。あんたも、もう30なんだからね」
あかね「もー。…あ、いるよ、いる。学さん」
守、飲みかけていたコーヒーを吹き出す。由季子、いつものことのように、こぼれたコーヒーを拭く。
守「お前、マジでいってんの?」
あかね「えー、やさしくていい人でしょ。兄ちゃんの友達じゃない」
守「だからいってんだろ。オレやだかんな。あいつが義理の弟になるの」
由季子「守の好き嫌いの話じゃないでしょ?」
守「いや…、でもさぁ」
安子「由季子さん、学さんって、金沢文庫でレストランやっているっていう…」
由季子「そうです。店長さん。守さん、お世話になってるのよ、お義母さん」
安子「あら、素敵じゃないの。こんど連れてきなさいよ、あかね」
守「つれてくんなよ、あかね」
安子「お会いしたら、あんたのことも、いろいろ聞かせてもらうわ」
守の膝をポンとたたいて、にやりとする安子。反射的にどきっとしてのけぞる守。
守「やめてくれって」
あかね「あー、それいいかも。兄ちゃんの素行が全部ばれちゃうね」
守「うっさいな。オレはこどもじゃないんだから、そんなもん気にすっかよ」
玄関口から、弘の声が聞こえる。
弘「おーい、安子。唐沢さんとこ、あいさつ行くぞ!」
安子、立ち上がって玄関へ向かう。
安子「はーい、今行きますから」
あかね「兄ちゃん、唐沢さんとこって?」
守「ああ、この間言ってた、販売所の共同化のことで。唐沢さんとこが一番場所がいいから、貸してもらおうかって話」
あかね「ふうん。どうせなら、ちゃんとした屋根付き、扉つきのお店にすれば?」
守「コスト、あえばな…」
あかね「そっか」
由季子「野菜だけじゃなくて、おみやげ品みたいなのとかおけば?」
守「うーん。オリジナルなものあればなぁ」
守、立ち上がりタバコをつかんで、茶の間を出て行く。
由季子、黙ってコーヒーをすすっている。あかね、コーヒーをカップに注ぐ。由季子がマグカップを下に置く。
由季子「あかね、本当は違うんじゃないの?」
あかね「え?」
由季子「学さんのこと」
あかね「…わかんない」
由季子「わかんない?」
あかね、こっくりとうなづく。
あかね「私、学さん、楽しいしやさしいし、しっかりしてるし、好きなの」
由季子「うん」
あかね「学さんがそうなんだろうなって、考えてた」
由季子「ねえ、あの車椅子の人…」
あかね「会っちゃったの。兄ちゃんのバンドのライブの時」
由季子「会っちゃったって?」
あかね「俊介さん。車椅子の…」
由季子「知り合い?」
あかね「ずっと前。俊介さんが、オートバイ乗ってた時」
由季子「そうなんだ」
あかね「でも、名前も知らなくて、一回会ったことあるだけ。うちの上の畑のとこで」
由季子「は?」
あかね「道教えてあげて、三浦富士のこととか話して。古い白いヘルメット、もらった」
由季子「なんじゃ、そりゃ」
あかね「うちにあるでしょ、ステッカーのイラストの」
由季子「ああ!じゃあ、あの空色のヘルメットのライダーって…」
あかね「俊介さんなの」
由季子、しばし無言で、あかねを見ている。
由季子「一目ぼれなの、ね」
あかね、少し笑ってみせる。
由季子、コーヒーのポットを取り、自分のマグカップにそそぐ。
由季子「こないだルイがね、あかねはなんか無理してるって言うのよ」
由季子、あかねのマグカップにも、コーヒーを足し、ポットをもどす。
由季子「自分を誤魔化して、学さんと付き合ってるんじゃないかって」
あかね「そんなんじゃないの…」
由季子、マグカップを持ったまま、窓辺まで行き、外を眺める。秋の紅葉の景色が広がっている。
由季子「出会ったのってだいぶ前でしょ」
あかね「うん。20歳の時」
由季子、おどろいてあかねのすわっているテーブルまで飛んで戻る。
由季子「ちょっと、それ、10年近く前じゃないの」
あかね「うん…」
由季子「なに、バカなこと言ってるの! やだ、もう。すっかり信じちゃったじゃない」
あかね「ホントの話だよ。ずっと好きだったの」
由季子「じゃ、何? あかねは、20歳の時に一回しか会ってない男のこと好きで、いままでずっとシングルしてたってわけ?」
あかね「そういうんじゃない」
由季子「だって、そういうことでしょ」
あかね「結果的にはそうだけど。でも、私だってボーイフレンドとか居なかったわけじゃないもん。プロポーズされたこともあるんだから」
由季子「ええっ? そうなの?」
あかね「そうだよ。若い頃は、兄ちゃんにじゃまされたけど」
由季子「守かぁ」
由季子、苦笑い。
あかね「兄ちゃん、ほんとひどいんだから。デートの時、つけてきたりするの」
由季子「あかねのこと、大切にしてるのよ」
あかね「父親、二人いるみたいだもん」
由季子「お義父さんは、そんなにうるさくないでしょ?」
あかね「兄ちゃんよか、信頼されてるもん」
由季子「ごもっとも」
あかね、急に立ち上がって、思いっきり伸びをする。
あかね「あーっ!もうやんなっちゃう!」
あかね、ふたたび座る。
あかね「由季子さん、どうおもう?」
由季子「その、俊介さんって人?」
あかね「だって、都会の人だよ。羽田って多摩川の向こうだもん。ライブ来た時も、若くて綺麗な女の子、二人も連れてたし。私なんて、関係ないよね、やっぱり」
由季子「でも、最近は会ったりするんでしょ?」
あかね「うん…。会うっていうか、お野菜の販売のホームページ作るので、手伝ってくれてるから、メールとか」
由季子「じゃあ、進展してるんじゃない」
あかね「ゼンゼン。だって、ここのページの写真はこんな風にいれないとダメだとか、そんなことばっかりだもん。女に見てもらえてないの、きっと。まるっきりデートとかじゃないの」
由季子「そっかなぁ、あかねって、かわいくて魅力あるのに」
あかね「田舎の農家の娘だからさ…」
由季子「学って、女見る目だけはあるのよ。だから、あかねは太鼓判」
あかね「学さんってなんで、今まで結婚してないの?」
由季子「たぶん、ルイのこと気がかりだからでしょ。あそこは、両親いないから」

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Comments:6

ぱーぷる 07-12-20 (木) 4:31

寝る。。。おやすみなさい
いっぱい読めた。ぐっすり寝られる。

shige 07-12-20 (木) 10:54

時差1時間あると言えども3時半まで起きてたのかー。

ぱーぷる 07-12-20 (木) 19:46

忘年会でもりあがりまくり。。。
カラオケに移動して歌うこと約5時間?光陰矢のごとし!!

shige 07-12-20 (木) 20:01

5時間もカラオケしてたのかー。いいのぉー。俺もたまにはカラオケに行きたい。

ぱーぷる 07-12-20 (木) 20:50

ご近所さんだったらなぁ
誘いに行っちゃうのになぁ 海の向こうだからなぁ

shige 07-12-20 (木) 20:57

遠過ぎちゃうもんねー(笑)
飛行機で何時間だろ。

21時に新しいのが載ります。確か21時に載るように予約設定していたはず。

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