Home > 2-あかねの空 > 50) あかねの空 快特高砂

50) あかねの空 快特高砂

俊介、PCの画面に向かっている。キーボードの横には、あかねのステッカーが置いてある。器用に自助具を使って、ステッカーにプリントされた、URLを打ち込む俊介。

○PC画面
あかねが試行錯誤しながら作ったホームページがPCの画面に現れはじめる。

○PCデスク周辺
全画面が表示されるまで、トントンと机をたたく俊介。
俊介「重すぎ…」
表示が終わると、マウスを動かし、リンクされているページへ画面をとばす俊介。
再び、ゆっくりと画面が表示される。表示されたページは、野菜の写真等が並べられ、単価や収穫時期などが載っている。
俊介「ダサッ! ダメダメ。こりゃ、売り上げゼロ。間違いない!」
大きく息を吸い込むと、ほおをふくらませて、息を吐く俊介。
俊介「どうしたもんかな…」
俊介、ページの下にある問い合わせe-mailアドレスをクリックして、ブラウザを閉じる。メーラーの別ウィンドウが開くと、再び自助具を使って、文字を打ち込みはじめる。
俊介「拝見しました」
俊介、パックスペースキーで、入れたばかりの文字を消す。息を吐き、少し天井を見て考え、再び打ち込む。

○PC画面
メーラーのタイトルが、一文字ずつ表示され、変換される。
『大根娘どの』
e-mailの本文が俊介の声で流れる。
俊介(声)「あかねさん。メールでは初めまして。この間のライブでは、本当に驚きました。でも、元気そうでなによりです。余り変わってないですね。」
俊介、一旦打ち込みをやめて、大きく深呼吸する。再び、打ち込み始める。
俊介(声)「亮さんから聞いて、ステッカー買いました。その時Heart of Goldの店長があかねさんの自慢話をしてくれて、サイトを作っているのがあかねさんだと聞きました。苦労してるから、みてやってと言ってたので、のぞきにきました。」

○あかねの部屋
PCに向かっているあかね。メールをチェックしていて、見知らぬアドレスを見つけて首をかしげるあかね。クリックして、メールを開く。

○あかねの横顔
PCの画面を見ているあかねの目が見開かれ、満面の笑顔になる。
俊介(声)「こんなこと書くのは失礼だとは思いますが、正直な感想を書きます。これじゃ、売れないです。野菜の写真もせっかく良いのがとれているのに、全然活かされていないし。道楽で個人のホームページを作るんじゃなくて、ちゃんとお客さんに来てもらって、おいしい野菜を買って食べてもらいたいなら、もっと工夫しないといけないです。」
あかね、口がとんがっていく。泣きそうな表情。
あかね「そんなこといったって、むずかしいんだもん…」
俊介(声)「とはいっても、初めて数ヶ月だって聞きましたから、当然だと思います。よく一人でがんばってます。だから、その努力をちゃんと成果に結びつけませんか?」
あかね、じっと文面を読んでいる。にっこりするあかね。
俊介(声)「僕は知っての通り車いすだから、三浦まではいけないけど、メールなら相談にのれると思います。あかねさんがやる気があって、僕でもよければ、連絡ください。 空色ヘルメット」

○俊介の部屋
メールを打ち込み終わって、大きくため息をつく俊介。
俊介、PC上の文面を読み直し、しばし手元を見つめるが、思い切ったようにEnterキーをたたく。

○あかねの部屋
PCの前で、俊介宛のメールを作成するあかね。たどたどしい、打ち方。
あかね(声)「空色ヘルメットの俊介さん、メール、ありがとうございました。やる気あります。私でもちゃんと作れますか?兄ちゃんはお前は馬鹿だからダメとか言うんですよ、ひどいよね。自分はもっと出来ないのに。俊介さんが疲れないか、心配ですが、教えてもらいたいです。よろしくお願いします。 大根娘」

○俊介の部屋
PCのメーラーに、メールが来ているのを見て、急いで開く俊介。
俊介の目がすばやく画面の文章を追って動く。笑顔の俊介。

○俊介の部屋
PCに向かっている俊介、かなり早い速度でキーボードを叩いている。真剣な表情。
俊介(声)「気が付くと、あかねの家の野菜販売のウェブサイトだけのはずが、共同販売所のも作ることになり、さらにあかねのイラストを気に入っていた土産物店と、輸入雑貨を売っているあかねの高校時代のクラスメートの合作で、あかねのイラストのグッズを作ったところ、結構好評になり、そのサイトも一緒に面倒を見ることになった」

○あかねの部屋
机の上に大型の画面と、キーボードにタブレット。色味表や、イラストの下書きが散らばっている。作りかけのサイトのデザイン画が画面に表示されている。
俊介(声)「当然、オレ一人じゃやりきれなくて、あかねも本格的にサイト作成をするようになった。一人、また一人と、知り合いから知り合いに話が伝わっていき、ローカルな情報誌に載ったのがきっかけで、由香までが応援してくれそうな企業を紹介してくれた。仕事仲間のあかねは、離れたところには居たけど、近くにいる気がしてた。仕事というより、あかねのそばにいる為の手段だった」

関連する投稿

Comments:0

Comment Form
Remember personal info

Trackbacks:0

Trackback URL for this entry
http://kamome.org/archives/309/trackback
Listed below are links to weblogs that reference
50) あかねの空 快特高砂 from KAMOME.ORG  “Shige-san’s Collection”

Home > 2-あかねの空 > 50) あかねの空 快特高砂

Search
Feeds
Meta

Return to page top