- 2007-12-21 (金) 8:00
- 2-あかねの空
○俊介の顔
驚きと困惑の表情。
由香「俊介、おかあさんに私のこと話してくれてたのね。結婚するかもしれないって」
俊介、うつむく。
由香「おどろいちゃった。…でね、おかあさん、一度だけ会ってくれたら、もうそれでいいからって。たとえ私が俊介と一緒になるってまだ思ってくれていても、忘れてくださいって」
俊介、じっと歯をくいしばっている。
由香「私は逃げたの。次の日にはアパート自体引っ越したし、電話ももちろん変えた。俊介に会うつもりも…なかった」
俊介、絞り出すように話す。
俊介「仕方ないよ、誰だってそうだと思う。 …オレさ、目が覚めた時、由香に会わなきゃって思った。あやまりたくて」
○テーブル席
由香、驚きの表情。
俊介「オレ、結婚するはずだったのに、子供だって…」
由香「俊介…」
由香、テーブルの上に伸ばした指先が、せわしなく動く。
俊介「オレ、由香から逃げようとしてたのかもしれない。由香に子供が出来たって言われた後、頭の中真っ白で」
由香、つぶやくように言う。
由香「あの日、会社でもアパート戻ってからも、電話くるの待ってた」
由香、一旦言葉を切る。俊介、じっと由香を見つめている。由香、俊介を見ない。
由香「でも、こないって、わかってた」
俊介の目が見開かれる。
由香「そう。…女だから分かるのよ、自分を抱いた男が何を考えているかなんて」
ふいに俊介の目から涙がこぼれ、膝の上にのせた両手の甲に落ちる。
俊介「ごめん…なさい。傷つけた、心も…。ごめん…」
由香の声が急に強くなる。
由香「あやまらないで。あやまることない」
俊介「オレ、最低なんだ。由香に会わなきゃって思いながら、酒飲んで、仕事休んで…、あげくに事故で」
由香、無言のまま俊介を見つめている。視線をはずし、息を吐く由香。
由香「私よ、あやまらなきゃいけないのは」
○ミーティングフロアー入り口
入り口脇、コーヒーブースから紙コップを持って現れるあかね。カウンター寄りかかって、コップの中身を少し飲んでから、俊介と由香のいるテーブル方向を見る。
○窓際のミーティングテーブル
俊介、さっと顔を腕でぬぐって、涙をふく。
俊介「仕方ないよ。誰だって…」
由香の声が強さを増す。
由香「子供なんてうそ!」
俊介、息をのむ。当惑が俊介の顔に広がる。
由香「子供なんて…いないの。だましたの」
俊介「うそ…なの?」
由香「そう。でたらめ!くやしかったのよ! やさしくて、楽しくて、俊介さんいいねって、同僚の子達からうらやましがられてた、私。でも、俊介の心の中には、私が居たことないんだもの。どんなに一緒に過ごしてても。」
由香の目から涙がこぼれ落ちる。
○ミーティングフロアー入り口
カウンター脇で、じっと俊介と由香を見つめているあかね。
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