- 2007-12-21 (金) 21:00
- 2-あかねの空
○窓際のミーティングテーブル
由香「俊介はずっと誰かをみてて、私にはその人が誰なのかすらわからなくて。嫌だった。顔も名前も知らない人に負けるみたいで。馬鹿にされてるみたいで」
俊介、うつむいたまま、無言。
由香、バッグからハンカチを取り出し丁寧に涙をふく。コンパクトを取り出し、手早く涙の痕を消す。由香、自分の感情を表さないように言う。
由香「そういうこと。だから、俊介は誰も傷つけてないし、あやまることないわ」
俊介「そうか…子供うそだったんだ…そうなんだ。オレの子供いないんだ」
由香、やや怪訝な顔をして俊介を見る。
俊介「でも、あやまるよ。オレがいいかげんだったから、由香の心傷ついたんだから。ごめんな」
由香、ミーティングフロアー入り口のところに佇んでいるあかねを見る。
由香「もう、やめましょう。俊介の連れの人、困ってるわよ」
俊介「え? ああ」
由香「あの人…恋人?」
俊介「いや。ウェブサイトの構築、手伝ってあげてる三浦の農家の人」
由香「そう…。恋人だと思った」
俊介「違うよ」
由香、首をかしげる
由香「そうなの? さっき、二人で居る時、幸せそうな顔してたわよ、俊介」
俊介、一瞬言葉につまる。
俊介「…。あの子、天真爛漫で、周りの人みんなそのノリになっちゃうんだ」
由香「そう…。でも、きっとああいう人ね、俊介と一緒に居られるのは」
俊介「結婚しないからさ、オレ」
由香「そうなの?」
俊介「一人の方が気楽だし」
由香、ふふっと笑う。
由香「ウソばっかり。 また、いつか会えるといいな。どこかで」
俊介「ああ、いつか…」
由香「じゃあね」
由香、立ち上がると、バッグを肩にかけ、あかねのいる入り口方向に歩いていく。
○俊介の横顔
俊介、ややうつむきかげん。堅い表情。奥歯を噛みしめている。
○コーヒーブース脇カウンター
あかねが立っている。由香が近づいてくる。由香と目が合って、笑顔で会釈するあかね。ちいさくつぶやく由香。
由香「ほんと、天真爛漫」
あかね「お話、済みました?」
由香「ええ。ごめんなさいね、おじゃましてしまって」
あかね「あ、いいんです。久しぶりに会ったら、お話したいでしょ?」
由香「ありがとう。よかったわ、会えて、話して」
あかね「でしょう?」
由香「今度会う時は、あなたも一緒にお話したいわ。じゃあ」
由香、あかねに名刺を渡し、立ち去りかける。
あかね「原口由香さん。あかねです」
由香、立ち止まり振り返る。
由香「あかねさん、あの人、俊介…、ずっと見ててくれない?」
あかね「え?」
由香「ううん、いいの。私がいうことじゃないわ。じゃあね」
由香、にっこり笑うと、ミーティングフロアーを出て行く。
由香の姿が消えるまで、見送るあかね。あかね、振り向くと駆け足で俊介のところに戻る。
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