- 2007-12-22 (土) 21:00
- 2-あかねの空
○Heart of Gold店内
閉店している。店内、四、五人の子供たち。亮太の息子、川津秀太もその中にいる。ルイが歌を教えている。一人の子が、窓の外に気を取られて、歌わずにいる。
ルイ「エミちゃん、どうしたの。今、歌ってる途中でしょ」
エミと呼ばれた子は、窓の外を指さす。
エミ「車いすの人が、ここ入りたいみたい」
子供達、一斉に窓際に駆け寄る。
秀太「あ、俊介だ」
秀太、ドアを開けにいく。ルイ、秀太の後について、ドアまでいく。
○Heart of Gold屋外
ドアが外側に開く。秀太が出てくる。
秀太「よう、俊介」
俊介「おう、秀太」
ルイ「タメぐちかい」
秀太「だって、オレの方がバイクうまいから」
俊介、苦笑い。
ルイ「そういう基準なのね。入れば?」
俊介、店内に入る。後から続く秀太。
○Heart of Gold店内
子供達が、集まってくる。
ルイ「はい。じゃあ、今日はここまでね。今度の時までに、ちゃんとメロディを憶えるように何度も歌ってみてください」
子供達、口々に返事をして、荷物を持って帰っていく。見送るルイ。秀太が残っている。
ルイ「ほら、あんたもかえんなさい」
秀太「え~、いいじゃん居ても」
ルイ「ここからは、大人の時間なの」
秀太「あ~、ひでぇ、差別だ」
ルイ「区別。ほら、トレールの大会、出るんでしょ」
秀太「大ジョブだよ。オレより巧いヤツいないから」
ルイ「そうやってると、どこかでおおコケして、痛い目みるんだから。さ、帰った」
秀太「ちぇっ。じゃあな、俊介」
俊介、秀太に片手をあげて挨拶する。
秀太店を出て行く。
ルイ「いい子なんだけど、生意気よね、ヤツは」
俊介「ルイさん、子供に歌教えてんの?」
ルイ「まあね。教えるっていうようなもんじゃないけどね。歌いたい子は歌わせてあげたいから」
ルイ、カウンターへ行き、コーヒーを淹れ始める。
俊介「ふうん。ルイさんは歌わないの」
ルイ「うん…」
俊介「歌えばいいのに。前にライブで少し歌ったじゃん。あれ、よかったよ」
ルイ、俊介をみる。顔がほころぶ。
ルイ「そう?」
俊介「うん。歌がさ、心に響くってはじめてだったな…」
ルイ「そう…」
俊介、カウンター近くのテーブル席につく。 ルイがコーヒーの入ったマグカップを両手に持って、カウンターから出てくる。
ルイ「はい」
ルイ、片方のマグを俊介の前に置く。
ルイ「このカップなら、持てたよね?」
俊介「ああ、大丈夫。サンキュ」
ルイ「どういたしまして。兄ちゃん、もうすぐ帰ってくると思うんだけどな」
俊介「暇だから、待つよ」
ルイ「あかねのサイト、どう?」
俊介「うん、大丈夫じゃないかな。最近、アクセス数上がってきてるし。ウェブからの注文も、そこそこになってきたから」
ルイ「すごいじゃん。ウチも作ろうかな、ホームページ」
俊介「あ、いいんじゃない。最近、ライブハウスのサイト、充実してきてるからね。手伝うよ、必要なら」
ルイ「全部、お願いしてもいい?費用とか出すから」
俊介「お願いって、手伝いしかできないよ」
ルイ「立派にあかねのとこ、作ってるじゃない」
俊介「あれは、あかねさんがかなりがんばってるから」
ルイ「仕事にはしないの?こういうの」
俊介「うーん、どうかな。考えたことない」
ルイ、表情がやや険しくなる。
ルイ「考えたことないの?本当?」
俊介、あいまいに応える。
俊介「うん、まあ、なんていうか」
ルイ「だって、仕事ないままずっとなんて暮らしていけないじゃん」
俊介「ヒモでもやるかなー」
ルイ「なにいってんの!」
俊介「なにって…別に」
ルイ「将来のこととか、考えてないの?」
俊介「いや、あんまり。考えてもしょうがないしね」
ルイ「しょうがないって、どういうことよ?」
俊介「しょうがないって、しょうがないんだよ」
ルイ、真顔になって、語調が強くなる。
ルイ「俊介さん、あかねとつきあってるんじゃないの?」
俊介「え?」
ルイ「つきあってるんでしょ?」
俊介「いや、そういうんじゃないよ」
ルイ、いらだって立ち上がり、カウンターからタバコを取り、火をつける。
せわしなく吸い、煙をはき出すルイ。
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