- 2007-12-23 (日) 8:00
- 2-あかねの空
ルイ「俊介さん、あかねのこと、どう思ってるの? どうするつもりなの?」
俊介、突然のルイの言いようにうろたえて、思考がまわっていないかのように、ぽかんとした表情。
俊介「どうって、別に」
ルイ「好きなんじゃないの?」
俊介「好きだよ」
ルイ「友達じゃなくって、男として、あかねのこと愛してるんでしょ?」
俊介、表情が暗くなる。やや長い沈黙の後、俊介がつぶやく。
俊介「愛さない」
ルイ、唖然とする。
ルイ「なに?」
俊介、ルイを睨んで言う。
俊介「愛さない」
ルイ「なによ、それ! あかねのこと愛さないって…。じゃ、なんであかねに近づくの? なんで親身になって、あかねの相談事聞いたりするの?好きなんじゃないの?あかねの気持、考えたことあるの?」
俊介、テーブルをじっと見つめている。
俊介「考えて、どうなる?」
ルイ、腕組みをしたまま、タバコを吸い続ける。
俊介「考えて、どうなるんだよ!ルイさんさ、何にもわかってないくせに勝手なこと言うなよ!オレの何をわかってるんだよ!」
俊介、叫びきって、眉間にしわを寄せてテーブルをこつこつ小刻みに叩きはじめる。
俊介「あかねに愛してるって言って、それでオレの体がなおるわけじゃないだろう?言われて、あかねが困るだけなんだよ…。結局、疲れて傷つけて、みじめになって。あかねがたとえオレのこと好きになってくれても、周りが許さない。それが道理なんだよ、誰もわざわざ、障害あるヤツと一緒になるなんて考えないんだから…」
俊介、下を向いて泣いている。
ルイ、カウンターの方を向くとタバコをカウンターの灰皿に力一杯押しつけて、消す。
ルイ「怖いだけじゃない」
ルイ、俊介の方に向き直る。
ルイ「怖いのよ。あかねに告白して、断られるのが。障害を理由に逃げてるんじゃない」
俊介「怖いよ。怖くないはずないだろ」
ルイ、俊介の目の前の椅子に座り、俊介の肩をつかむ。
ルイ「俊介さんさ、あんたなんなのよ」
俊介「なんなのって…」
ルイ「全然、ダメじゃん。ウチの兄ちゃんの方がよっぽど素敵だわ。あんた、はなからあきらめてる。ヒーローぶってたって、何にもかわんないじゃん。好きなら、傷つこうとなんだろうと、ちゃんと伝えりゃいいでしょ。人を好きになることに障害も制限もないよ!そんな勇気も持てないなら、この先生きてたってイミないじゃん。やめちゃえば、そんな人生」
俊介「やめちゃえば…か」
俊介、ゆっくりと車いすをこいで、ドアを押し店を出て行く。ルイ、テーブルにあった灰皿を壁に投げつける。
ルイ「馬鹿!」
厨房の奥から「ただいま」と学の声がする。ルイ、床に落ちた灰皿を拾って、カウンターに座り、タバコを取り出し火をつける。学が厨房から入ってくる。
学「おう。今、俊介、来てたな」
ルイ「うん」
学「なんか用だったの? オレにも気付かないで、駅の方行ったけど」
ルイ「さぁ」
学「さあって…、ウチに来たんだろ」
ルイ「知らない」
学、タバコをくゆらすルイを見ながら、コーヒーの豆をひき始める。
イライラした様子で、タバコを消すルイ。
学「そういうとこ、なおせよ」
いつになく真面目でやさしい口調の学。ルイ、上目使いに学を見る。
学「アイツ、あかねちゃんのことで来たんだろ?」
ルイ「甘えてるのよ、周囲にも、生きること自体にも。なんであんなの好きになるんだか、私はわかんない!」
学「…おまえさ、何おこってんのよ。おまえのこっちゃないだろ」
ルイ「だって…」
学「だってじゃないぞ。好きだけど言い出せないなんてよくあることだろ。しかも俊介は、普通よりか生きるの大変なんだしな」
ルイ「…なんで私がおこられんのよ。兄ちゃん、さ、悔しくないの? 俊介は兄ちゃんのライバルなんだよ。兄ちゃんの方がよっぽどがんばって生きてるじゃん、かっこいいじゃん。なんであんな意気地なしに兄ちゃんが負けなきゃいけないの!わかんないよ」
ルイ、涙ぐんでいる。
学「バーカ。なんでお前が泣くんだ? この場合、涙をぐっとこらえて、二人の行く末を暖かく見守ってやるのが、男ってもんだろ。…オレは、男だからな」
ルイ「兄ちゃんの方が、馬鹿だよ。なんで力づくでもあかね捕まえないの?」
学、ちらっとルイを見る。淹れたてのコーヒーをマグに注ぎ、ルイの前に置く。
学「あかねちゃんは、力づくで捕まるような女じゃないよ」
ルイ「だって、兄ちゃん、本気なのに」
学「本気だからさ、力づくなんて嫌なんだよ。本気だからさ、アイツの本当に幸せな顔、見ていたいんだよ。悪いか」
ルイ「兄ちゃんは、いつもそんなだから…」
学「いいんだって。それにな、万一あかねちゃんがコケて、悲しい思いすることがあったら、かっこよくオレが登場すればいいわけじゃん」
ルイ「バーカ」
学、真面目な目つきになる。
学「それより、俊介に何言った?おまえのことだから、意気地なしだの、きついこと言ったんだろ」
ルイ「…告白する勇気もなくて、うじうじしてるなって。そんななら、生きる意味ないだろって…」
学、いきなりルイの頭をはたく。
学「馬鹿、やばいぞ、思い詰めたらやるかもしれないだろ!」
ルイ「うそ!」
学「だから、デリカシーないっつーの!男ってのはな、繊細なんだぞ!」
ルイ「だって、あんまりなさけないこと言うから…」
学「とにかく、駅いこう、駅。16号は救急車の音してないから、大丈夫と」
ルイ「あかねに、連絡する!」
学とルイ、すばやく店の戸締まりをして、外に出るとCloseの札を下げる。
金沢文庫の駅に向かって走る、学とルイ。
ルイ、走りながらあかねに携帯から電話をする。
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Comments:5
- ぱーぷる 07-12-23 (日) 10:03
-
「由香に落ちた灰皿を拾って、」。。。って
「床」をわざと「由香」にかけてみた。。。?って読み過ぎ?「男ってのはな、繊細なんだぞ」
最近になって初めてこの意味がわかってきた
いろんな人との出会いで成長している、ぱーぷる - shige 07-12-23 (日) 10:09
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ただの誤変換ですな。直した。
そう。繊細なのよ。とっても繊細。(笑)
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20071210dde012040033000c.html?inb=yt
渡辺淳一も男は女々しいと言ってますな。 - ぱーぷる 07-12-23 (日) 16:26
-
ドキっとしたんだよね、この台詞
「やめちゃえば、そんな人生」先日、すごく仕事とか周りの環境に悩んでる人に
「じゃあ、ぜんぶやめちゃえば」って、言ったの翌日、本人に言われたの
「あの言葉は、俺に死ねってことか?って思った」ってそんなわけないよ
がんばってほしいから、考えて解決することじゃないから、
悩むのやめて、まえを見ようよって意味でいったのでも。。。ちがうんだね、とらえかたは
だまってにっこりしてたら、凄く可愛いのにっていわれる
一言、余分なこと言っちゃうんだね、男の人にとっては
そういうの可愛いって思うのは年が上の親父だけだって。。。そう? - shige 07-12-23 (日) 16:34
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捉え方って、その人、その人違うし、同じ人でもそのときの感情で捉え方はまったく変わって来ちゃう。
心に余裕があるときだったら前を見る言葉と受け取れても、心に余裕がないときはそうは受け取れなかったりね。一言余計なことか、余計じゃないかはそのときにわかりやしない。
でも、きっと、黙ってにっこりするよりも、その一言がある方が良い結果を生む気はしますけどね。 - ぱーぷる 07-12-23 (日) 16:38
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うん、そう信じてる
ありがとね、こまんだーシゲ
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