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64) あかねの空 快特高砂 ~ We’ve met once 10 years ago

○三崎口駅・二番線ホーム

○快速特急 高砂行
電車内。先頭車両左側。車椅子使用者の為に折りたたみの椅子が設置されているシート。窓側には1席通常のシート。尚たち、見送りの人々が連れてきた俊介を車椅子の後ろに回って、車内に載せるあかね。椅子が折りたたまれている、車椅子用のスペースに俊介の車椅子を移動させる。
あかね「俊の専用スペースだよ。いいでしょ」
後ろから入ってきた陽子が覗き込む。
陽子「あーホント。横にちゃんとあかねさんの席もあるじゃない」
あかね「そうなんだ。窓側は私の席!」
俊介、車椅子を動かして、位置を確認し、ふと最前列の席に目がいく。
俊介「へぇ、あんな席があるんだ」
あかね「あ、知らなかった?京急だからね」
尚「おまえ、今、あっちに座りたいって思ったろ、鉄オタ!」
俊介「わりぃかよ!」
あかね「え?俊って、鉄オタ?」
尚「あ、しらなかったの、あかねさん。コイツね、昔っから電車乗ると、一番前なのよ」
俊介「うっせーな。お前だって、一緒に乗ってただろ。京急沿線住んでたら、子供のときの夢は京急の運転手じゃんよ!」
あかね「へぇ、そっかぁ。でも、今日はこっちが俊の席だからねっ」
あかね、俊介のほほにキスをする。
俊介「わかってるよ」
初老の男女が、乗り込んできて、最前列のシートに並んで座る。あかね、俊介に顔を近づけてささやく。
あかね「ほら、あの席は、あの人達の席」
俊介、シートにほぼ隠れてしまっている乗客の後姿を見る。
俊介「そうだね」
笑顔の俊介。
車内アナウンスが入る。尚、陽子、他、見送りの人々、あわててホームに戻る。手を振るあかね。

○二番線ホーム
快速特急高砂行のドアが閉まる。
見送る人々。尚、陽子、良太、佐和子、ルイ、学、守、由季子、宏、安子、共同販売所のおばちゃん達、オートバイ仲間Heart of Goldの常連客等々。
2100形のVVVF(スリーブイエフ)インバータの音が流れる。ゆっくりと動き出す車両。

○三崎口駅周辺全景
青く澄み渡った空。三崎口駅から横須賀方面。俊介とあかねの乗った快速特急が、静かに動いていくのが見える。

○トンネル
快速特急の運転席。トンネルに入り、周囲が暗くなる。やがて出口が見え、
近づいてくる。光の中へと出て行く車両。ホワイトアウト。

**

約一ヶ月間お読みいただきありがとうございました。

最初から読む方は
登場人物一覧
http://kamome.org/archives/253

第1話
http://kamome.org/archives/254

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