Home > 3-読み物 | 黒猫にゃー。 > 黒猫にゃー。の冒険 -1 (朗読付き)

黒猫にゃー。の冒険 -1 (朗読付き)

http://kamome.org/archives/431(リンク先はこれのリライト前なので削除しました)
の「ジジさん、行き先間違ってますよ」が意外にも評判良かったので、おだてにのって連載ものにしました。連載ものにするにあたって「黒猫にゃー。の冒険」とし、語調中心に若干リライトしました。この語調は慣れないのでちょっと実験。

****

「よし」
「よし」

職人はパナマ帽を裏に表にとひっくり返し、各部を確認しながらつぶやく。

裏にひっくり返し、ビン皮には注文主である、横浜の港に程近い処に住む男の名が刺繍されている。

「よし、出来上がりだ」

パナマ帽は職人の手からショップの店長に託され、店長は注文した男にメールを打つ。

…ご注文を頂戴した時期に比べますと随分暖かくなりましたね。

 お待たせいたしました。
 先日ご注文のこちらの帽子が出来上がりました。

そして店長は厳重に梱包すると、クロネコをイメージキャラクターにしている運送会社に託しました。横浜でパナマ帽を待つ男に届けるために。

**

東住吉区にある営業所の入り口にはうたた寝をする黒いにゃー。がいます。
運び込まれる荷物を片目で見てはつまらなそうにニャーと鳴き、またうたた寝をしてしまいます。

「!」
「にゃ?」

黒いにゃー。は何かに気付き、運び込まれた荷物の一つに歩み寄りました。
大きな円柱形の箱の一つ、横浜の男に届けられるパナマ帽に声をかける黒いにゃー。

「どこに行くのにゃ?」

「パナマ帽には旅が似合うにゃ」

黒いにゃー。はそう言うとひょいとトラックに乗り込み、パナマ帽が入っている箱に潜り込みました。そして頭にはパナマ帽を被りました。

黒いにゃー。とパナマ帽の旅の始まりです。

エンジンがかかりトラックは動き出します。高速道路をぐんぐん走り一路東へと向かいます。

荷室の隅では暗闇で瞳を丸くさせた黒いにゃー。がパナマ帽をスッポリと被り、荷扉に姿を写しています。

「似合うにゃ」

ガタン。
トラックが揺れて黒いにゃー。は帽子の丸い箱に転がりました。丸い箱に合わせて身体を丸めています。
高速道路を走るトラックの振動が、黒いにゃー。を眠りへと誘います。

黒いにゃー。は遠いエクアドルに思いを馳せ夢を見ます。キトの石畳の街並みにパナマ帽を被り颯爽と闊歩する黒いにゃー。
そして、遠い昔に栄えたインカ帝国に思いを馳せ夢を見ます。海へと続く段々畑を黒いにゃー。はパナマ帽を被り駆け下ります。

東へ向かったトラックは、黒いにゃー。の目的地を越えて今度は北上を始めました。

しかし、黒いにゃー。は荷室の心地よい振動に包まれて目を覚まさないでいます。

**

「寒いにゃ」

荷扉が開き、荷室に冷たい空気が流れ込みました。

黒いにゃー。は帽子の丸い箱を少し開くと、パナマ帽を背中に押しやり、隙間から顔を出しました。

「ここはどこにゃ?」

「ずいぶん寒いところみたいだにゃ」

黒いにゃー。は箱から出ると、パナマ帽を頭に被り、街へ出てみました。

「港街だにゃ」

「美味しそうな匂いがしてくるにゃ」

黒いにゃー。は朝市に並べられる美味しそうな海の幸を一つ口に咥えました。

「美味しいにゃ」

  「こらっ!」

「ニャー!」

あらあら、一つ口に咥えたのを見つかってしまいました。

「逃げるにゃ」
「箱に戻るにゃ」

帽子の丸い箱に戻ってくると、何人かの人間が困った顔をしています。

「どうしたにゃ?」

  「横浜に昨日届いているはずの荷物が、ここ函館に来てしまい困っているんだ…」

「ニャー!」

「困っても仕方ないにゃ」
「旅にはトラブルも付きものにゃ」
「いろんなことがあるから旅は面白いんだにゃ」

黒いにゃー。は箱に潜り込み、顔を出すと困った顔をしている人間達に言いました。

「そろそろ帰るにゃ」

「遠くに行くことに深い意味なんてないにゃ」

そんな黒いにゃー。に被られているパナマ帽にとっては、横浜の男の「道行き衣」として、一番はじめの旅の記憶が刻まれたところでありました。

**

Special thanks 文二郎帽子店

関連する投稿

Comments:4

ぱーぷる 08-03-30 (日) 20:34

いい! いい!! すごくいい~~~!!!
黒いにゃー。の冒険が気になってしょうがない。
しばらく gravity 休んで、黒いにゃー。の旅に思いをはせるぅ~^^

shige 08-03-30 (日) 20:40

今日、もう一つ書く予定なので、それを載せたら、明日の日付でさっき受け取ってるgravity載せるね。

俺のは週に一度も書けないと思うので、gravity休まないでねー。

ぱーぷる 08-03-30 (日) 20:57

はぁ~い^^
「もう一つ」って何だろ何だろ。。。わくわくぅ~~~

shige 08-03-30 (日) 21:02

どんなのになるかまったく見当が付かない。
今、トラックに乗り込むところまで書いたのだけど、書いている自分が面白いのか面白くないのかまったくわからない文章なの。なにしろ、こういう文章は書くことないからねー。

ちなみに、今聴いている曲はフォスターの草競馬。
次の黒いにゃー。書くために。えええー(笑)

Comment Form
Remember personal info

Trackbacks:0

Trackback URL for this entry
http://kamome.org/archives/438/trackback
Listed below are links to weblogs that reference
黒猫にゃー。の冒険 -1 (朗読付き) from KAMOME.ORG  “Shige-san’s Collection”

Home > 3-読み物 | 黒猫にゃー。 > 黒猫にゃー。の冒険 -1 (朗読付き)

Search
Feeds
Meta

Return to page top