Home > 3-読み物 | 黒猫にゃー。 > 黒猫にゃー。の冒険 -3 (朗読付き)

黒猫にゃー。の冒険 -3 (朗読付き)

**** 

黒いにゃー。は今日は多摩川のほとりにある営業所に来ています。

大都会の東京と言っても、ここは喧騒を離れて、柔らかな春の陽射しを受けのんびりしています。

「つまらないにゃー」
「おもしろくないにゃー」

黒いにゃー。はあまりの退屈さに散歩に出ることにしました。
多摩川のほとりから、小さな工場(こうば)が並ぶ町へと黒いにゃー。は出て行きました。

黒いにゃー。は、あちこちの町工場を眺めていきます。
なにやら金属の加工をしている工場や、機械の組立をしている工場もあります。

「!」
「にゃーだにゃ」

おや、黒いにゃー。は何かを見つけたようです。

黒いにゃー。は小さな町工場の、開けっ放しの引き戸に近づきました。

   「えーと、この図面と、それと…、モーターはこれ」
   「センサーはこれで、あとは……」

町工場のオヤジさんは、どうやら黒いネコが描かれている袋に書類を詰めて、送ろうとしているところのようです。

「どうやら運ぶみたいにゃ」
「ここで待ってるにゃ」

黒いにゃー。は、その書類が運ばれる荷物だと気付いて待っているようです。

カシャ。

開け放たれていた引き戸が閉まると、町工場のオヤジさんは鍵を閉め、一歩踏み出すと空を見上げました。そして駅の方へと歩き出しました。

「そっちじゃないにゃ」
「こっちにゃ」

どうやら営業所とは逆の方に歩き出してしまったようです。

「ニャー」
「ニャー」

黒いにゃー。は町工場のオヤジさんを呼び止めようとしますが、立ち止まる気配はありません。黒いにゃー。は付いていくことにしました。

「駅にゃ」
「どうしようかにゃ」

「乗るにゃ」

黒いにゃー。は、改札を通る人の足許をくぐり抜け、ホームへと入ってしまいました。

「書類を届けるにゃ」

やがて電車が入ってきて、町工場のオヤジさんは乗り込みます。後に続いて黒いにゃー。も乗り込みます。

黒いにゃー。は昼間の空いている電車に乗ると、シートに飛び乗りました。
電車は鉄橋を渡り、窓の外は多摩川の水面が光っています。

「いい天気だにゃ」
「どこに届けるのかにゃ」

黒いにゃー。の隣では、町工場のオヤジさんが不思議な顔をして黒いにゃー。のことを見ています。

****

   「ニャー。ニャー」

「……おやおや、このクロネコはどこに行くんだろうか」

「クロネコ君、どこに行くんだい?」

   「ニャー。ニャー」

町工場のオヤジさんはニコニコしながら黒いにゃー。のことを眺めています。

「……おや…、この宅急便の袋に描かれているクロネコにずいぶん似たネコだな」

書類が入っている袋に描かれているクロネコと、黒いにゃー。を交互に見比べながら何かを思ったようです。

「キミは…、この絵のクロネコ君と同じクロネコ君なのかな?」

   「にゃあ!」

「そうか、そうか、じゃあ一緒にこの書類を届けよう」

どうやら、この町工場のオヤジさんは黒いにゃー。が袋に描かれているクロネコと同じネコだということに気付いたようです。

「クロネコ君、もうじき降りますぞ」

****

ピンポーン

「はーい」

   「書類届けに来たんだ」

「あれ、珍しいですね。今日は宅急便じゃないんですか。どうしちゃったんですか?」

   「あまりに天気が良くて気持ちよかったもんでな。それで散歩がてら届けに来た」

「それより…、この黒いネコさんは?」

      「ニャー」

   「ずっと一緒だったんだ。だからこのクロネコ君と一緒に届けに来たんだよ」

      「ニャー」

「またまた。何を冗談言ってるんですか(笑)」

      「ニャー!」

   「本当なんだよ。なぁ?クロネコ君?」

      「ニャ」

「じゃあ、今からこの黒いネコさんと、公園で散歩ですね」
「いってらっしゃい。黒いネコさんっ」

      「ニャー」

****

「配達終わったにゃ」

黒いにゃー。は、町工場のオヤジさんに向かって「にゃー」と鳴くと、次の荷物を探しに駆け出して行ってしまいました。

関連する投稿

Comments:19

ぱーぷる 08-03-31 (月) 20:15

なんだか。。。絵本みたい。
やさしい情景がうかんでくるね^^

shige 08-03-31 (月) 20:21

20話くらい続けることが出来たらUPS宅急便で黒いにゃー。を海外に出そうか。マニラまで。

ぱーぷる 08-03-31 (月) 21:32

そうそう、ぱーぷるとらんでぶー^^

shige 08-03-31 (月) 21:37

しばらく先になるけど。
ほら、マニラがどういう街か知らないから、gravity読んで雰囲気掴みつつ、色々調べつつなので、まだ先になっちゃうの。

松戸 08-03-31 (月) 23:50

いーじゃん、いーじゃん、すぐ20話くらいいきそうだな。
荷物ひとつにも、いろいろな思いや背景があったりするもんな。

shige 08-04-01 (火) 9:04

こういうのって「童話」カテゴリーなのかな。
「童話」と「ファンタジー」の違いってなんだろ。

とりあえず、あーすういんどあんだふぁいあーでも聴こうっと。

キム 08-04-01 (火) 13:18

違い?

漢字とカタカナ。

うそ。

黒いにゃーが行く土地の
名所や名産とかも
折り込んで

旅行記&ガイドブック

にしたら!(笑)

shige 08-04-01 (火) 13:23

行ったことないor最後に行ったのは20年前というような次元じゃ旅行記・ガイドブックは無理だなぁ。
あくまで脳内でイメージしたものだからさ。

松戸 08-04-02 (水) 0:11

「童話」って、読んで字の如く主に児童向けに書かれたものだと思う。
そして、「ファンタジー」は単に空想とか幻想みたいな、全年齢向けのものだと思う。
要は、子どもを読者として主眼に置いたかどうかの違いじゃない?。

俺の勝手な意見を言わせてもらいと、「童話」に寄った方が良いのではないかと思う。ただし、その場合には、子どもたちの共感性を重要視して、エピソードに子どもを登場させた方が良いと思うよ。

shige 08-04-02 (水) 19:23

なんかさ、昨日、第4話を書いていたら、途中で、黒いにゃー。が演じ始めてることに気付いちゃってさ。媚びちゃってるというかさ。
プロの作家であったり、素人でも文章書き慣れている人であれば、童話に寄るとか、或いは、読み手を意識して文章を書けるけど、思いっきり素人が書いているのだから、自由気ままを外れた途端に、にゃー。が演技を始めちゃったのね。

第4話はしばらく休憩。予定調和に書かれたものより、思いつきで書き始めてさくさく書けちゃったって方が面白いじゃんか。

その結果、童話に寄ってきているなとか、その結果、ファンタジーだなとか、自然と決まってくると思うの。その自然の流れに任せようと思います。

ぱーぷる 08-04-02 (水) 20:50

きまぐれマニラ紀行。。。いつになるかわからないところが、また楽しみぃ^^

shige 08-04-02 (水) 20:54

ながーい目で待っててね。

黒いにゃー。ではない文章書くかなぁ。

でも、今、頭の中がバナナパフェonlyだから、文章なんて無理。
ぱふぇぱふぇぱふぇー。

松戸 08-04-02 (水) 23:23

そうかーなるほど。
自由気ままなままでまってるぜおー

ぱーぷる 08-04-03 (木) 2:20

やぁ~ん ぱーぷるも『ぱふぇぱふぇぱふぇー』モードがONされたぁ~
明日たべよっと^^

shige 08-04-03 (木) 18:00

パフェは食べたのかな。

あうー、パフェー。

と言いつつ、今日はしょっぱいものモード。

ぱーぷる 08-04-04 (金) 9:36

昨日は、ディナーのフレンチに気持ちを集中させていたから
パフェやめたの。 しょっぱいもの食べたぁ~?

shige 08-04-04 (金) 9:50

しょっぱいもの食べたよー。
胡麻煎餅と、柿の種。

ディナーのフレンチ…。ディナーのフレンチ…。ディナーのフレンチ…。ディナーのフレンチ…。 と、俺も食べられないかと唱えてみた。

ぱーぷる 08-04-04 (金) 10:27

うん、「ことだま」を信じなきゃ!!^^

shige 08-04-04 (金) 10:38

ディナーのフレンチと唱えてても、魚料理の和食になりそうな予感。

おめー、最初から魚とか寿司しか食う気ねーだろ!という突っ込みはナシの方向で(笑)

Comment Form
Remember personal info

Trackbacks:0

Trackback URL for this entry
http://kamome.org/archives/441/trackback
Listed below are links to weblogs that reference
黒猫にゃー。の冒険 -3 (朗読付き) from KAMOME.ORG  “Shige-san’s Collection”

Home > 3-読み物 | 黒猫にゃー。 > 黒猫にゃー。の冒険 -3 (朗読付き)

Search
Feeds
Meta

Return to page top