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2008-08-19

虹とスニーカーの頃 - 2/5

** 3

セルを回してエンジンをかける。いつもとまったく違う振動が身体中に伝わってくる。

「じゃあ一週間後に!」

そう言って僕はクラッチをつなぐ。慎重に発進し国道へ出る。
鵠沼橋を右に曲がり路地へと入り込む。

走らねー。 止まらねー。 曲がらねー。
気付くと身体が強張る。意識して身体から力を抜き、一つ一つの動作に気をつけてみる。
シフトダウン。エンジンブレーキ。
普段、車体制御以外の制動・減速の動作のほとんどを、フロントブレーキに頼っている。そんな身体に染みついた動作から、エンジンブレーキ、リアブレーキも有効に使っていく動作へと変化させていく。

しっかり減速し、自然に寝かし込んでアクセルを開いて加速に移す。そう。今の調子だ。
もう少しメリハリ付けて。
腰から下を有効に使い、しっかり旋回し、しっかりと加速させる。
よし、よくできてきた。

きちんと乗ってあげさえすれば、ニュートラルなハンドリングのいいオートバイだ。

** 4

空を眺める。
入道雲が湧いて出てくる。
夏の空を見られるのもあと少しだろうか。昼間はまだまだ真夏と言う気温でも、吹く風に秋の匂いが混じる。

夏も終わりか…。
今年の夏…。やり残したこと…。
何があるだろうか…。僕は考える。

「そうだ。海水浴だ!」

僕は笑顔になる。とてもおかしかった。
だって、海水浴なんてもう何年もしてないのだから。
昨年も一昨年もしてないのに、今年の夏に限ってやり残したことというのも変なのだけど、でも…、今の気分では確かに海水浴がやり残したことだ。

電話ボックスを見つけプッシュボタンを押す。

「もしも~し。トシコせんぱいですか~?」
「トシコ先輩。海行きましょう。うん。うん。そう、海水浴。行きましょう!」
「じゃあ明日。先輩が部活終わったくらいに柳小路の駅まで迎えに行きますね」

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