帽子の男 第1話-1 author:松戸
2010年 1月 09日(土曜日) 22:52
-帽子の男_scene 01- author:松戸
「・・・どうしたらいい?」
アキオは深刻なカオをしている。
「横浜にいるチェア・ウォーカー。そいつなら相談に乗ってくれるかもしれない」
「マジで?名前は?」
「いや、知らない。目印は帽子・・・中折れソフトをかぶっている。
バイクで中華街に行けば、運が良ければ会えるハズだ。
公園の東屋で見かけたっていう話もある」
「わかった、行ってみる」
「気をつけろよ・・・一筋縄じゃいかないらしい。元教授だっていう噂だ」
-帽子の男_scene 02-
○横浜・中華街
-クラクションの音とツインのエンジン音入ってきて-
アキオ「と、来てみたものの・・・会えるのかぁ?」
アキオの乗る黄色いドカティが、路地を横断する人を避けながら、
ゆっくりと走っている。
午後の雑踏の中、キョロキョロを周りを見ながら進む。
三叉路を右折すると、左手に公園が見えてくる。
アキオ「お?こんなとこに公園・・・東屋?」
公園の前の道に数台のオートバイが停まっている。
その公園の端に小さな東屋があり、数人の男女が集まっていた。
アキオ「あの人たちに聞いてみたら何かわかるかな?」
公園の端にバイクを停め、ショウエイのジェットヘルメットを脱いだアキオ。
東屋の方を見る。
革ジャンやGベストを着た男達が、酒を片手に談笑している。
近寄りがたい雰囲気。
東屋の中央に車椅子の男が一人いる。
アキオ「まさか、もしかして?・・・教授?」
- 帽子の男_scene 03_1 -
○中華街の公園・東屋
東屋に近寄るアキオ。
一番手前にいるGベストの男が、ヱビスビール片手にアキオの方を見ている。
アキオ「あ、あのぉ・・・」
Gベストの男「よぉ!・・・いらっしゃい。で、誰?」
アキオ「あの人・・・」
アキオが指差す先に、中折れソフトをかぶった車椅子の男。
Gベストの男「おう、チャゲ。お客さんだぞ」
ああん?という顔で振り向く、車椅子の男(チャゲ)。
チャゲ「ごめん、誰よ?」
アキオ「あ、あのぉ・・・」
みんなからの注目を感じるアキオ。
アキオ「教授ですか!?」
チャゲ「キョウジュ!?」
どっと東屋に爆笑が起こる。そこにいる全員が腹を抱えて笑っている。
一人戸惑うアキオ。
アキオ「え?え?え?」
Gベストの男「教授だってよ、ひひゃひゃひゃ!」
アキオ「ち、違うんですか?なんだ、ハハハハ・・・ハハ・・・(汗)」
チャゲ「何でそのこと知ってるの?」
アキオ「え!やっぱり教授なんですか!あの、元教授だとか・・・」
チャゲ「・・・おたく、誰なの?」
アキオ「アキオっていいます」
チャゲ「若そうだけど、いくつよ?」
アキオ「19です・・・」
東屋の一同声をそろえて「若け~!」
チャゲの隣に立っている女性(M姐)がGベストの男に尋ねる。
M姐「え?いくつだって?」
Gベストの男「ジュウクだって」
M姐「若け~!平成生まれじゃん」
チャゲ「あのドカ・・・900GTS?」
チャゲの視線の先に、アキオの黄色いドカティ。
-帽子の男_scene 03_2 - author:松戸
○中華街の公園・東屋
アキオと車椅子のチャゲが話している。
チャゲの視線の先に、アキオの黄色いドカティ。
チャゲ「あのドカ・・・900GTS?」
アキオ「あ、わかります?ものすごい昔のバイクで、乗りにくいスけど」
チャゲ「うん。でも、俺が乗っていた頃は、ウイリーしたままコーナー切り返しとかしたけどなー」
アキオ「ウ、ウイリーしたまま?900GTSで?まさか・・・」
チャゲ、アキオに視線戻して。
チャゲ「で、俺のことは誰に聞いてきたの?」
アキオ「鮎川っていう人です。中折れソフト帽が目印の元教授のチェアウォーカーなら、相談に乗ってくれるかもしれないって言われて・・・」
チャゲ「鮎川か・・・」
チャゲ、M姐、Gベストの男がそれぞれ顔を見合わせた。
M姐「鮎川ね。で、初対面で相談ブチに来たんだ、キミ」
アキオ「はい・・・」
チャゲ「いいよ。相談、聞いてやるよ」
アキオ「ホントですか!」
チャゲに詰め寄るアキオ。
アキオ「あの・・・実は・・・」
と、そのとき-
チャララララ~と、突如ポールモーリアの携帯着信音が東屋に響き渡る。
チャゲ「あ、ちょっとごめん」
ポーチから、ド派手な携帯電話を取り出すチャゲ。
チャゲ「はい、チャゲです。・・・なにぃ!?」
よく聞き取れない風なチャゲ。M嬢見て-
チャゲ「M姐、カーナシからなんだけど、聞いてやって」
M姐「ほいさ」
チャゲから携帯を受け取るM姐。
M姐「はい、・・・なにぃ!?よく聞こえないんだけど・・・え???事故ぉ?わかった。とにかくそっち行く」
携帯をチャゲに返しながら。
Gベストの男「どうしたよ?カーナシ」
M姐「山下公園の前で事故ってるらしい。ありがたいカーナシが、ありがたくない状況にあるみたい」
Gベストの男「うっし、行くか!」
ヘルメットを持って立ち上がる、Gベストの男。
M姐「飲んでるでしょ。だめだめ」
東屋の男たちを見渡すM姐。
M姐「この中で飲んでないのは・・・・ぁ」
全員の視線がアキオに集中する。
アキオ「え?オレ?」
自分で自分を指さすアキオ・・・
チャゲ、アキオ見てその通りとばかりにうなずく。
※このシナリオはフィクションであり、実在の人物、団体などとは一切関係ありません。
