ヨコハマ・ベイ・パーク・ストーリー 第2話-2
2010年 1月 09日(土曜日) 22:52
○07山下公園・海岸側
カーナシ「はぁ?!(大声)」
これでもかというほどの、カーナシのドアップ映り-
カーナシ「行方不明!?(大声)」
M姐「アキオの彼女って入院してたらしいんだけど・・・アキオを連帯保証人にして闇金融から借金して行方不明なんだって・・・」
カーナシ「むちゃくちゃだなぁ、それ。・・・アキオはその子に恨まれるようなことしたのかな?」
M姐「どうだかね・・・」
ふと、電動車椅子を止めるチャゲ。
チャゲ「俺に何を相談しようとしたんだろうな・・・」
カーナシ「まさか・・・カネの工面?初対面で?」
M姐「鮎川はそのつもりだったのかも・・・」
チャゲ「・・・その彼女の、入院の原因って何なんだろな・・・」
M姐「さあ・・・」
思慮深げなチャゲの横顔。
○08中華街・公園近くの路地
アキオの乗る黄色いドカが、東屋のある公園の路地に入ってくる。
バイクを停めてヘルメットを脱ぐアキオ。東屋を見るが、誰も・・・いない。
重い足取りで、東屋に向かう。
誰もいない東屋の長椅子に、ひとりポツンと座るアキオ。
アキオ「・・・・」
そこへ、コンビニ袋に缶ビールを満載したGベストの男が通りかかる。
Gベストの男「おろ?アキオじゃねーか?」
Gベストの男に気づくアキオ。
アキオ「あ・・・斎藤さん・・・」
Gベストの男「よぉ!久しぶりだなー。元気ねーじゃんか」
アキオ「いえ・・・」
Gベストの男「チャゲに会いに来たのか?」
アキオ「まあ・・・そんなとこです・・・」
Gベストの男「チャゲなら、今カーナシ達と山下公園を散歩してるぞー。一緒に行くか?」
ふと通りを見たアキオ、何かに気づいて顔色が変わる。
アキオ「斎藤さん、また後で・・・」
急に立ち上がり、ヘルメットをかぶるとすぐにドカを発進させるアキオ。
Gベストの男「おおー?なんだよ、アキオぉー?」
Gベストの男が通りを見ると、アキオのドカを追いかけるように、黒塗りのハマーが急加速して行った。
Gベストの男「おお???」
scene 07-08:END
○09山下公園・道路側
カーナシがZ1のエンジンをかけている。
チャゲとM姐がそれを見守っている。
そこへ通りかかるGベストの男。
Gベストの男「おりょ、もうお開きかよ?」
M姐「カーナシが図面届けに行くんだと」
カーナシ「自営業だから仕事、仕事!集金もあるんでね~」
Gベストの男「そういやぁ、アキオ来なかったか?」
チャゲ「は?」
M姐「アキオ来てたの!?」
-ドドドット!というツイン・エンジンの音入ってきて
Gベストの男「あれじゃね?」
アキオの黄色いドカが、黒いハマーに煽られている。
M姐「追われてる?」
チャゲ「カーナシ!」
カーナシ「ほいさ!」
ヘルメットをかぶり、テールをスライドさせながらZ1を急発進させるカーナシ。
Gベストの男「まるでグースみたいだな!カーナシ!」
チャゲ「M姐、元町のル・シュマンに誘導してやって」
M姐「おーけーい!」
○10湾岸道路
アキオ「しつこいな」
不慣れな横浜の交通に戸惑うアキオ。
右のバックミラーに黒く巨大なハマーが迫る。
と、そこへ左のバックミラーに迫るものが・・・
アキオ「ん?」
カーナシ「いぇ~ぃ!!!」
カーナシのZ1がアキオのドカに併走する。カーナシが何か叫んでいるが、風の音にかき消されて聞こえない。
アキオ「!(誰?)」
カーナシ「!(俺だよ!俺!)」
サングラスを下にずり下げるカーナシ。
アキオ「え?!(誰?)」
カーナシ「俺だ!オレ!オレ!オレ!!!」
アキオ「山本さん!」
カーナシ「ちげーよ!!!カーナシさんだよぉぉぉぉ・・・」
カーナシのヘルメットに装着されたハンズフリーフォンが鳴る。
M姐音声「なーに遊んでんだよ!さっさとまいて、アキオをル・シュマンに連れてきて!頼んだよ!」
カーナシ「ほいほい!、ついてきな!」
アキオ訳が分からずも、カーナシについて走ってゆく。
急に路地へ向かってフルバンクするZ1。
アキオも負けずについてゆく。
それを追いかけて路地に割り込むハマー。
狭い路地を飛ばすカーナシ。アキオはついてゆくのがやっとだったが、夢中でカーナシを追いかけているうちに、いつしか後方のハマーは見えなくなってしまった。
○11元町・裏路地
裏路地に停車しているドカとZ1。
カーナシ「ぷは~!オメーなかなかなモンだな」
アキオ「カーナシさん・・・誰だか分からなかった」
カーナシ「分かるだろーオメー・・・って、何か意味ありげだな」
バイク・チェイスの興奮も冷め、沈んでいるアキオ。
カーナシ「この先の店で、チャゲが待ってる。そこで話を聞こう」
うなずくアキオ。
scene 09-11:END
○12元町・ル・シュマン(外観)
瀟洒なル・シュマンの店の外観。
○13元町・ル・シュマン(内観)
壁に飾られたパナマ帽。
そして、カウンター越しに、奥のテーブル席にパナマ帽のチャゲの姿。
チャゲの奥にアキオ、そしてM姐。
カウンターにカーナシが座っている。
チャゲ「悪いね、早く開けてもらって」
ル・シュマン・マスター「いいんですよ。ちょうど今日はそんな気がしたんです」
50歳代の落ち着いた感じのマスターが、ホット・コーヒーを煎れている。
カーナシ「この店のペペロンチーノは絶品だぜ」
M姐「カーナシ、戻らなくていいの?」
カーナシ「さっき事務所にちょうど石渡が来てたんで、代わりに届けてもらったからダイジョウブ」
チャゲ、タバコの煙を吐き出し、沈んでいるアキオ見て。
チャゲ「話してみなよ。俺でよければ、聞くからサ」
マスターによって運ばれるコーヒー。
アキオ、湯気を立てる、白いカップの茶色い液体を見つめて・・・・
○14 半年前-東京の下町・公園
湯気を立てる、スターサックスのコーヒー紙コップ。
アキオ「なんだよ、改まって話って」
サキ「何だと思う?・・・」
白いブラウスを着た清楚な感じのサキ(19歳)。
アキオ「なんだって、何?」
少し不安そうな表情のアキオ。
-アキオ・モノローグ-
少し前から体調不良だったサキは、病院での検査を受けていました。
サキ「がん・・・だって。嘘みたい・・・」
アキオ「え・・・?嘘だろ、それこそ・・・」
サキ笑って―
サキ「ほんと、嘘みたいだよねー・・・ビックリ。まだ初期のがんなんだって。でも、ぜんぜん実感ないし・・・治るよね?」
アキオ「あたりまえだろ!大丈夫だよ、あの病院、テレビで見たことあるし、がん治療の専門病棟だってあるんだろ。大丈夫だよ。ぜーんぜん。心配すんな」
サキ「だよね!」
-アキオ・モノローグ-
本当はもう、リンパ節に転移した中期の進行がんだったんです。
サキは、それから2週間後にがんの摘出手術を受けました。
○15東京港北病院・病室
アキオ「サキ、よくがんばったな」
力なくうなずく、サキ。
サキ「うん・・・がん、取った、から、体重・・・軽く、なった、かな?」
上手くしゃべれず、そう言って笑顔を見せるサキ。
-アキオ・モノローグ-
心配させないように、あいつ、笑顔で・・・。
アキオ「ゆっくり休んで、うまいもの食いに行こう!な・・・」
サキ「うん・・・アキオの・・・おご・・り、ね」
○16東京・代官山の街角
-アキオ・モノローグ-
それからサキは見違えるように回復してゆきました。
きちんとメイクした、笑顔のサキ。
アキオと待ち合わせて、レストランに入ってゆく。
-アキオ・モノローグ-
もう大丈夫じゃんって、俺はホントに安心してました。
サキから夜に電話をもらったのは、3ヵ月後の定期健診に行く前の晩でした。
○17アキオのアパート
ベットから半身を起こして、携帯電話を耳にあてているアキオ。
サキの音声「バイクで、海に連れて行って」
scene 12-17:END
※このシナリオはフィクションであり、実在の人物、団体などとは一切関係ありません。
