帽子の男 第1話-3 author:松戸

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-帽子の男_scene 13-14 - author:松戸

○横浜・路上

二人乗りで駆け抜けるドカティ。
M姐のスマートなライディング。
後ろに乗ったアキオが最大限の大きな声で、M姐に話しかけている。

アキオ「マズくないすか!?先に二人で行って、もしもヤバイ奴らだったら!」
M姐「ビビるんじゃないよ。話をするだけさ。応援も頼んである」
アキオ「応援?」

そのとき、あり得ない位の爆音が後ろから急速に近づいてきた。
ZRX1200に乗った、山本登場。

山本「お・は・ヨーーーーー!!!」
M姐が駆るドカに、ウイリーで併走する山本のZRX。M姐に向かってピースサインをしたかと思うと、アキオに思い切りガンを飛ばした。

アキオ「な、なんなんだ!この人・・・怖ええ。しかも何でオハヨーなんだ・・・」

○湾岸埠頭・路肩・黒いピックアップ・トラック

ヒップホップ系の若い男が3人、ピックアップ・トラックの状態を見ている。

HP系男1「やっぱり、こすれちゃってるYO!」
HP系男2「どーすんだYO!」
HP系男3「バイクの子、コケちゃってたYO!」
HP系男1「思わず逃げちゃったYO!」
HP系男2「どーすんだYO!」
HP系男3「マズくね?マズくね?マズくね?」
HP系男2「どーすんだYO!」
HP系男1「・・・・」

険悪な雰囲気。

 

-帽子の男_scene 15 - author:松戸

○湾岸埠頭
M姐「いた!」
路肩に停まっている黒いピックアップ・トラックを発見。

ヒップホップ系の若い男が3人、ピックアップ・トラックのまわりでフェンダーの状態を見ているようだった。
ドカティのエンジン音に気づいてその3人が顔を上げる-険悪な顔。
M姐と山本がバイクを路肩に停めて、バイクから降りた。
ヘルメットを脱いだ山本はヤクザ映画に出てくる悪役みたいな顔で、アキオに向かってニッと笑顔を向けた。

山本「経験は?」
山本がアキオにたずねる。アキオ意味わからず-

アキオ「は?何のですか?」
山本「もちろん実戦のさ」
山本がシャープなシャドウボクシングを見せる。
アキオ「い、いや・・・そんなには・・・」
山本「じゃあ2対3ってトコだな」
アキオ「いや・・・M姐さんよりは、さすがに・・・」
山本「馬鹿、俺ら3人のうちで最強なのはM姐だぜ」
アキオ「ウソ・・・」

M姐、二人を振り返って。
M姐「ゴチャゴチャ言ってないで、行くよ。・・・ねえ!クルマ、故障?」
HP系の3人にM姐が声をかける。

HP系男1「なんでもねーYO!」

M姐が素早くクルマの左サイドへ回り込む。
ピックアップ・トラックのフロント左サイドのフェンダーがこすれ、バイクのブルーの塗料が付着している。

M姐「あら?どっかでぶつけた?」
HP系男2「うるせえな!何だオマエら!」
気色ばむ男たち。

アキオ、いざというときはM姐を守ろうと一歩踏み出すが、山本に肩を掴まれる。
山本「おとなしく見てな」

M姐まったく動じず、鋭い視線で-
M姐「さっき、山下公園の前でバイクとクルマの接触事故があった」
HP系男3「え!・・・」
M姐「キミたち・・・だよね?」
視線をそらす、HP系の3人。

HP系男1「駐車場探してて、気づいたらクルマが左に寄ってて・・・それで・・・」
M姐「バイクと接触した。そのままシカトはないだろ?」
HP系男3人「・・・」

M姐「幸いバイクの子の怪我は大したことない。謝る気があるなら・・・」
M姐の凄みのある視線。
M姐「・・・まだ間に合うよ」

HP系男3人「!・・・・スミマセン・・・」
M姐「私じゃなくて、そのバイクの子にね」
シュンとしてしまった、HP系男3人。

M姐「山本ちゃん、この子たち先導してやって!」
山本「おう!オマエらついてきな」
HP系男3人「はい・・・」

山本のZRXのエンジン始動音が轟き渡る。

アキオ「M姐さん、マジかっこいい。かっこよすぎ・・・」

アキオの背後からVツインのドコドコという排気音が近づいてきてアキオの横で停まった。
それは、ハーレーに乗ったカーナシ。

カーナシ「なんだ終わっちゃったの?オレの出番ねーじゃん」
アキオ「あれ?Z1じゃないんですか?」
カーナシ「やっぱこういうワイルドな時はハーレーだろ」
アキオ「意味わかんないし」

そこへM姐近づいてきて-
M姐「カーナシ、乗せてって」
カーナシ「お安いご用で!」
M姐、カーナシのハーレー後部座席に跨る。

アキオ「え?・・・ドカ乗って行かないんですか?」
「ん?」という感じで、顔を見合わせるM姐とカーナシ。

M姐「乗って行って欲しいワケ?」
カーナシとM姐が、ニヤニヤしながらアキオを見る。
アキオ「いや、ただ・・・その・・・」
M姐笑って-
M姐「東屋においでよ。チャゲに相談の続き、したら?」

カーナシ「行くぜ、若人よ!」
カーナシが、くかかかと笑いながらM姐を乗せたハーレーを発進させた。

アキオ、M姐達を一人で見送る。
沈みかけた夕日が、アキオとドカティ900GTSを照らしている。

アキオ「なんか・・・すげえ・・・」

もの思いに佇むアキオ。
気付くと横浜の潮風がアキオの髪を揺らし、かすかに打ち寄せる波の音がしている。
夕日が沈むのを見送ってから、アキオはドカティのエンジンを始動した。

 

-帽子の男_scene 16 - author:松戸

○中華街の公園・東屋・夜

カーナシの声入ってきて-
カーナシ「オレが事故るわけねーじゃん!」
M姐「だってさー、てっきりカーナシが事故って、バイクーナシになってるのかと思ってサ」

わいわいと談笑している。東屋常連のほかにアキオやナオミの姿もある。

山本「アキオなんて暴れるつもり満々だったもんなー」
アキオ「それは山本さんが、実戦の経験あるかなんて聞くからですよ」
Gベストの男「さすが、M姐だな。やつらを改心させるとは。よかったな、ナオミちゃん。チャゲが話をつけて全部弁償させることになって」

そこへ和倉登場。
和倉「よぉ!」
チャゲ「お疲れ~!」
カーナシ「ヘリからクルマを見つけたのがこの人。鷹の目みたいだろ」
ナオミに説明するカーナシ。
和倉「視力は1.2だけどな(笑い)」
ナオミ「ほんとに、みなさんありがとうございました」
チャゲ「怪我もたいしたことなくてよかったね」

ナオミ、アキオの前に立って-
ナオミ「アキオくん、来てくれてうれしかった」
アキオ「いや・・・オレは・・・(何も・・・)」

石渡「オイオイー、いいよなぁ~若いモン同士ってかぁ~」
カーナシ「石渡、そのオヤジ発言なんとかしろよー」
ゲハハハと一同の笑い声。

チャゲ「で、アキオの相談って何?」
Gベストの男「そう、そうだよな。すっかり忘れてたよ」

アキオ「なんか今日のみんな見てたら・・・オレ、大丈夫です!。オレも困ってる人みかけたら、シカトしないで手伝います!」
カーナシ「何だよおまえ、超好青年みたいなこと言うなよ」

チャゲ「心がけは悪くないけど、気張らずに。今、言いにくいようなら、いつでも相談に来なよ」
アキオの心を何か見通している感じの、チャゲ。
アキオ「はい!」

東屋から少し離れたところで一人佇むM姐。東屋のやりとりを見ながら、携帯電話を取り出す。
その携帯電話のアドレス帳、ア行に「鮎川」の文字。
M姐少し迷いつつも、思い切って電話する。

コール音-
鮎川(音声)「はい・・・」
M姐「よぉ・・・ご無沙汰じゃん。アキオって子が来たよ」
鮎川(音声)「そうか・・・実はそいつ・・・」

東屋でどっと笑い声が起こる。山本とカーナシが悪ふざけしている。

M姐「えっ・・・」
電話しているM姐の表情が曇る。

電話を切り、アキオを見つめるM姐。
無邪気そうに笑っているアキオの横顔――――

第1話・完

※このシナリオはフィクションであり、実在の人物、団体などとは一切関係ありません。