KAMOME.ORG “Shige-san’s Collection”
「徒然」にあった記事は別館
- 2008-07-24 (木)
- 1-お知らせ
ストーリーやシナリオ系の読み物と、雑記・徒然のどーでもいい記事は分けました。
投稿作品を含む読み物は従来通りここ。
俺のどーでもいい徒然・雑記が別館へ。
検索エンジンから来て、目的の記事がない場合、下記別館へ行き、サイト内検索で探して下さい。
※このエントリーは時々上に上げます。
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帽子の男:第2話 -4 author:松戸
※このシナリオはフィクションであり、実在の人物、団体などとは一切関係ありません。
○07山下公園・海岸側
カーナシ「はぁ?!(大声)」
これでもかというほどの、カーナシのドアップ映り-
カーナシ「行方不明!?(大声)」
M姐「アキオの彼女って入院してたらしいんだけど・・・アキオを連帯保証人にして闇金融から借金して行方不明なんだって・・・」
カーナシ「むちゃくちゃだなぁ、それ。・・・アキオはその子に恨まれるようなことしたのかな?」
M姐「どうだかね・・・」
ふと、電動車椅子を止めるチャゲ。
チャゲ「俺に何を相談しようとしたんだろうな・・・」
カーナシ「まさか・・・カネの工面?初対面で?」
M姐「鮎川はそのつもりだったのかも・・・」
チャゲ「・・・その彼女の、入院の原因って何なんだろな・・・」
M姐「さあ・・・」
思慮深げなチャゲの横顔。
○08中華街・公園近くの路地
アキオの乗る黄色いドカが、東屋のある公園の路地に入ってくる。
バイクを停めてヘルメットを脱ぐアキオ。東屋を見るが、誰も・・・いない。
重い足取りで、東屋に向かう。
誰もいない東屋の長椅子に、ひとりポツンと座るアキオ。
アキオ「・・・・」
そこへ、コンビニ袋に缶ビールを満載したGベストの男が通りかかる。
Gベストの男「おろ?アキオじゃねーか?」
Gベストの男に気づくアキオ。
アキオ「あ・・・斎藤さん・・・」
Gベストの男「よぉ!久しぶりだなー。元気ねーじゃんか」
アキオ「いえ・・・」
Gベストの男「チャゲに会いに来たのか?」
アキオ「まあ・・・そんなとこです・・・」
Gベストの男「チャゲなら、今カーナシ達と山下公園を散歩してるぞー。一緒に行くか?」
ふと通りを見たアキオ、何かに気づいて顔色が変わる。
アキオ「斎藤さん、また後で・・・」
急に立ち上がり、ヘルメットをかぶるとすぐにドカを発進させるアキオ。
Gベストの男「おおー?なんだよ、アキオぉー?」
Gベストの男が通りを見ると、アキオのドカを追いかけるように、黒塗りのハマーが急加速して行った。
Gベストの男「おお???」
scene 07-08:END
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コメディ・東屋でござる(仮題)
横浜中華街 小さな公園にある東屋
中華街の喧騒の中、東屋では怪しい風体の連中が集まっている。
中年を過ぎた年齢の者、まだ二十歳を超えたばかりくらいの若者。
男ばかりではなく、女もいる。子連れのファミリーもいる。
サラリーマン風の者。アウトローのような風体をした者。車椅子の者までいる。
どの様な集まりかはまるでわからない。
それらの連中が思い思いにウイスキーのグラスを傾けたり、
つまみに手を伸ばしたりして談笑している。
**
遠くからオートバイの排気音が聞こえる。
喧騒溢れる中華街の路地にも拘わらず東屋まで聞こえると言うことは、
かなり大きな音を立てて走ってきたようだ。
「誰か来たかな?」
「カワサキの単車の音だな」
「山本じゃねーの?」
「山本は先週トンネルにへばりついてあちこち骨折して入院しているはずだぞ」
「まさか来るはずないよね」
「ねえ、チャゲさん?」
皆が車椅子のチャゲの方を見る。
「この音はZRXだな。その”まさか”。きっと山本だろうな。
おっはよー!と言いながら入ってくるんじゃないかな」
と、チャゲが言う。
それからすぐにタイヤを鳴らしてZRXが止まる。
長身のライダーはバイクから降りるとヘルメットのシールドを上げ、
「おっはよー!!」
と言いながらこちらに向かって歩き出した。
「あははははははは」
東屋にいた一同が大笑いする。
「山本ぉー。お前、トンネルとお友達になって入院してたんじゃねーのかよ?」
「今日はゴリラのような男の看護師が担当だったから逃げてきたんだよ」
「しょうもねーなー。ギプスで固めたままオートバイで高速使って200キロも走ってくるヤツなんてそういないぞ」
「今日は泊まっていくんだろ?
傷の早い回復には一杯飲むのが血行が良くなっていいぞ」
「ジンジン、ドックンドックンと気持ちよくなるぜ」
「せいぜい悶えてくれよ」
「オートバイは誰かに回させればいいな」
「アキオ。あとでホテルまで回してやってくれ」
**
中華街の路地に行き交う人々を見ながら缶ビールを飲んでいたカーナシがジッと一点を見つめている。
それに気付いたものが一人、また一人と一点をジッと見つめては火花を飛ばしている。
「オイオイ、何をみんなでガン飛ばしてるんだよ」
そう言いながら車椅子の向きを変え、皆が見ている先に視線を移すチャゲ。
「大人気ないな」
ぼそっとつぶやく。
どうやらガンを飛ばしていた相手は二人の警官のようだ。
その警官は東屋に向かって歩いてくると周囲を見回し、
「みんなお酒を飲んでいるようだけど、バイク乗りっぽい人もいるね」
「まさか飲んで運転して帰ることはないよね?」
「もっちろーん」とビールを煽りながら山本が言う。
「ちょっとここの会の責任者は誰かな?話を聞かせてもらいたいんだけど」
と警官。
「責任者は俺だけど、何を聞きたいの?」
と、車椅子のチャゲが言う。
「キミ?」
「本当にキミ?」
警官は車椅子のチャゲの姿を眺めては素っ頓狂な顔をしている。
「その素っ頓狂というか、鳩が豆鉄砲食らったような顔はなに?」
「車椅子のヤツが責任者だったらおかしいかい?」
サングラスを外して警官を睨み付けるチャゲ。
「私も共催している責任者の一人ですが」
「申し遅れました、私、ミナトテレビ報道局のこういう者です」
と、ジャックが首から提げたIDカードを警官に見せながら言う。
その姿を見ていた周囲の連中から
「ジャックさん、さっきまでIDカードぶら下げてませんでしたよね」
の声が聞こえる。
「あー、日本通信社の和倉と申しますが、
すいません。どうしたんですか。事件ですか?」
見るからに報道カメラマンの風体をした和倉が立っている。
腕には日本通信社の腕章をし、
大きく長いレンズを付けた一眼レスカメラを二台ぶら下げて、
手には手帳とボールペンを持っている。
「和倉さん、さっきまで子煩悩なパパの顔をして娘さんと遊んでませんでしたか?」
「それよりもいつ着替えたんだろ」
笑い声混じりにそんな声が聞こえる。
「君達も仲間なのか?」
「それよりもこの車椅子の彼が本当に責任者なの?」
と、警官が言う。
「だからさっきから責任者は俺だと言ってるでしょ」
チャゲが段々イライラしてくる。
和倉は警官に畳みかけるようにと次々と言葉を投げかける。
「それで、どのような事件なんですか?」
「報道の自由を奪うんですか?」
「国民の知る権利も奪うんですか?」
「あなた方には事件のあらましを説明する義務がある!」
「ねーよ」
そんな声が周囲から聞こえて、クスクスとした笑い声がする。
「ここじゃなんだから、すぐそこに薩摩町署があるからちょっとご足労願えないかな」
「ちょっと待った」
2mほど離れて座っていたM姐が言う。
「お巡りさん、警察官職務執行法の第2条言ってみて」
「え?第2条は…第1項が…えーっと…」
警察官が条文を言い始めるよりも前にM姐が言い出す。
「第二条 警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知つていると認められる者を停止させて質問することができる」
「それでは、この場合、犯罪を犯してますか?またはこれから犯罪を犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由を説明して下さい」
警官が口を挟むよりも前にM姐が続ける。
「第二条の2項では その場で前項の質問をすることが本人に対して不利であり、又は交通の妨害になると認められる場合においては、質問するため、その者に附近の警察署、派出所又は駐在所に同行することを求めることができる」
「そうありますが、この場合、どこが本人に対して不利であり、公園という場に於いて交通の妨害になり得る理由を説明して下さい」
さらに警官が口を挟むよりも前にM姐が続けようとする。
「第3項では…」
と、言い出した頃に後ろから歌が聞こえてきた。
鳴り渡る 自由の鐘に♪
盛り上がる 平和の力♪
警官が歌を歌っている男の姿を見た。
男はなおも歌を続ける。
明るくも 正しく 強く♪
挙りたつ 我ら4万♪
その名こそ おお おお……♪
「他所のことに首を突っ込むことはしないが、
法を犯すことはしないと約束できるので、
ここは一つ………な?」
男の言葉で警官は引いた。
「くれぐれも飲酒運転はしないようにして下さい」
そんな言葉を残して二人の警官は中華街の雑踏に消えていった。
「ところでM姐さん。なんでそんな条文を暗記しているんですか?」
カーナシが聞く。
ニヤニヤと笑ってるだけで答えないM姐。
「チャゲさん、教えて下さいよ」
チャゲに振るカーナシ。
「昔、レディースだったんだよ。鉄パイプ持って、車高短に箱乗りしてたって聞いたぜ
現役時代に警官とやり合うには理屈も必要なんだろ」
「チャゲこらー!!」
「ちょ…まて…それ障害者虐待だって」
「都合の悪いときだけ障害者ぶるなー!」
「あははははははは」
東屋に笑い声が響く。
「ところで内田さん。さっき…」
チャゲがさっき歌を歌っていた男=内田を見ながら問いかける。
「さっきの歌はなんの歌なんですか?」
「ん?さっきの?ああ、あれ、警視庁の歌なんだ」
「神奈川県警の歌を知らなかったので警視庁の歌を歌ってみたの」
「そんなところだとは思ったけど、警視庁の歌なのか」
「しかし、内田さんIT業界なのに同業の振りしているんだもん
笑いを堪えるのが大変だったよ」
「警官だなんて一言も言ってないでしょ」
「ただ警視庁の歌を歌って、法は犯しませんから、一つ…。
と、言っただけじゃんね」
「タヌキとキツネばっかだな」
「さて、飲み直そうか」
「乾杯。おつかれー」
夏の東屋の夜は更けていった。
※この話は登場人物が誰かに微妙に似た人がいちゃったり、松戸の帽子の男に出てくる人物に似ている人がいちゃったりなんかしますが、ただのパクリですから気にしないで下さい。はい。(^_^; あと、もちろん、100%フィクションDea~~th。
最後に、スピード感大事にしたかったら書いているうちに警官を畳みかける形の文章になっちゃったけど、本職の人みてたらコメディと言うことで笑って許して下さい。(^.^)ご(-.-)め(__)ん(-。-)ね(^.^)
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時間切れ
- 2008-07-18 (金)
- 3-読み物
仕事が一段落したので、ちょっとコメディっぽいのを書こうと思ったのだけど時間切れ。何故ならトトロの日なの~♪ 本当はDVD所有しておきたいのだけど、トトロは年に一度くらいは日テレでやるしと思って買わないの。つか、PCでしかDVD見られないし。
で、コメディは、年に1~2度やってる東屋宴会で起こりえるトラブルをコメディタッチで書こうと思っていたの。でもコメディっぽいのって書いたことないから思いの外時間かかってまるで書けない。
きっと書いてみて、試行錯誤していくしかないんだろうな。
明日からちょいと那須のアトリエへ芋掘りに行って、帰ってきたらまた図面描きなのですが、近いうちに書きたいと思います。
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帽子の男:第2話 -3 author:松戸
※このシナリオはフィクションであり、実在の人物、団体などとは一切関係ありません。
○05中華街・雑貨屋
こじんまりとしているが、可愛らしさのある店内。
店内を見回している、チャゲ。
中華街のことなら詳しいはずのチャゲもこんな店がここにあるとは知らなかった。
雑貨の脇に帽子が数点置かれている。
ユキ「ちょっと待っててください、すぐにやってみます」
ユキはカウンターの奥に入り、手際よくシミ抜き作業をはじめる。
チャゲ「こんな店があったなんて・・・ごめん、知らなかった」
ユキ笑って-
ユキ「あまり目立たないから。おじいさんの代には帽子屋だったんですけど、それだけではキツくなって雑貨屋をはじめたんです・・・はい、これで大丈夫だと思います」
ユキからパナマ帽を受け取ると、泥の黒いシミはすっかり落ちていた。
チャゲ「ありがとう。ところで、さっき店の前にいた黒猫だけど・・・」
ユキ「黒猫?ですか?」
チャゲ「いや、その猫を見てたら段差に乗ってしまって。だから、キミのせいじゃないよ」
ユキ、優しい表情になって-
ユキ「ありがとう。でも通りにはあんなに大勢人がいるのに・・・」
店の外の通りを行き交う人々・・・
ユキ「みんな見てみぬふり・・・」
チャゲ「キミは見てみぬふりはしなかったじゃない」
チャゲ、パナマ帽をかぶり、ユキを見る。
ユキ「いいえ、わたしも見て見ぬふりをしている一人なんです・・・」
ワケありっぽい、悲しそうなユキの表情---
○06東京港北病院・駐輪場
黒スーツ男「平和的解決!それがイチバンだろ?」
ニッコリ笑った表情ががらりと変わる。
黒スーツ男「月末までだ。それ以上は待てね。わかったな」
アキオ「ああ・・・」
アキオ行こうとするが、黒スーツ男に肩を掴まれる。
黒スーツ男「おいおい、話は終わってねーだろ。とりあえず、今持ってるだけ払ってもらおうか。俺もサ、ガキの使いじゃねーからここまで出張って手ぶらじゃ済まねーんだよ」
アキオ「カネは・・・(ない)」
うつむく、アキオ。
黒スーツ男「しゃーねーなぁー。じゃ、ドカだな」
駐輪場に駐車している、アキオの黄色いドカティ900GTS。
黒スーツ男「ほら、キー出せ。ホラホラっ!」
黒スーツ男が差し出した手を払ったとたんに、アキオの頬をパンチがかすめた。
アキオにパンチをよけられて若干焦った感のある、黒スーツ男。
黒スーツ男「てめ、ナメンなよ!」
今度はよけられないように、アキオに近づく黒スーツ男。だが、先にアキオの左足蹴りが黒スーツ男のみずおちに入った!
黒スーツ男「うぐっ!」
その場にうずくまる、黒スーツ男。
アキオ「バイクは渡せね・・・カネは月末までにはなんとかする」
アキオ、そのままドカに向かう。
黒スーツ男「てめ、ただで済むと思うなよ・・・」
アキオの背中に捨てゼリフを吐く黒スーツ男。胸ポケットから、デコレーションされた携帯電話を取り出しながら、ニヤニヤと笑っている・・・
アキオ、ドカのエンジン始動して-
ツイン・エンジンの音が響く---
scene 05-06:END
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帽子の男:第2話 -2 author:松戸
※このシナリオはフィクションであり、実在の人物、団体などとは一切関係ありません。
○03東京港北病院・正面玄関:前回のシーン続き
黒スーツ男「連帯保証人・・・だよね?」
アキオ「・・・」
連続的な電子音-入ってきて-
○04中華街路地
カメラがパンすると、そこは中華街の路地。
連続的な電子音は、チャゲの電動車椅子の音。
歩道に放置してある自転車がチャゲの行く手を塞いでいる。
少し顔をしかめて、自転車をよけて進むチャゲ。
ふと、視線に気づいて路地の先を見ると、黒い猫が一匹、チャゲの方をじっと見ている。
チャゲ「何だ。見てたのかお前」
しかめっ面を見られたようで少しバツが悪い。猫はじっとチャゲの方を見ている。
チャゲも猫の方を見ながら、電動車椅子を進める。
黒猫に気を取られたチャゲは歩道の段差に不用意に乗ってしまい、バランスを崩してしまった。
チャゲ「チッ」
バランスを崩したチャゲの頭からパナマ帽が地面に落ちた。
落ちた先は運悪く、水溜り・・・
チャゲ「あーあ・・・」
チャゲ、お前のせいだぞと、黒猫がいた方を見ると、すでに黒猫の姿はなかった。
視線をパナマ帽の方に戻すと、今度はパナマ帽が消えていた。
チャゲ「はぁ?」
そこへ脇から、チャゲの目の前に差し出される、女性の白い手とパナマ帽。
ユキ「はい、これ。少し汚れちゃいましたね・・・」
黒いブラウスを着た清楚な感じのユキ(20歳)。
チャゲ「ああ、ありがとう」
ユキ、パナマ帽を見て-
ユキ「すぐにシミ抜きすれば、大丈夫かも。私のお店すぐそこなんです」
チャゲ「いや、いいよ・・・」
ユキ「車椅子が段差に乗ったとき、声を掛けようとして掛けられなかったんです。声を掛けていれば帽子が落ちることはなかったかも・・・。それに、私のお店って元は帽子屋さんなんですよ!」
さぁ!と、ユキに促されるままに、チャゲ小さな雑貨屋に入ってゆく。
scene 04:END
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黒猫にゃー。の冒険-4 (朗読付き)
****
配送に使われている小さなトラックの助手席に、黒いにゃー。がいます。
黒いにゃー。は大人しくシートにちょこんと座っています。
どうやら、営業所から荷物を届ける配送トラックに、一緒に乗り込んだようです。
「あと何件配送するにゃ?」
「うーん、あと10箇所くらい荷物を届けたら終了だよ」
「もう飽きたにゃ」
「もうちょっとだから大人しくしていてね」
小高い丘の道を走っていると、急に目の前が開けました。
「!」
「海だにゃ!」
「にゃー!にゃー!」
ドライバーが次の配送先にトラックを停めると、黒いにゃー。はトラックから飛び降りました。
「海はいいにゃ」
「海の向こうには何があるのかにゃ」
黒いにゃー。は海へ向かって坂道を歩き出しました。
**
「にゃ?」
坂道を歩いていると何かに気が付いたようです。
坂道の途中のアトリエには女の人が絵筆を持って大慌てをしていました。
アトリエの表札には「画家 キキ」と書かれています。
黒いにゃー。はしばらく眺めていました。
画家のキキさんは黒いにゃー。に気付くと、黒いにゃー。を抱き上げて話しかけました。
「どうしよう…」
「にゃー、にゃ?」
「明日までに展覧会の会場に絵を持っていかないとならないの」
「でも…、業者の手違いで明日までに持っていけなくなっちゃったの」
「にゃー!」
「にゃー!にゃー!」
「こんなことネコちゃんに言っても仕方がないわね…」
「ネコちゃん、ごめんね」
「にゃー!にゃー!」
黒いにゃー。は画家のキキさんの腕の中から離れると走り出しました。
「にゃー。が届けるにゃ」
「探すにゃ」
黒いにゃー。は、さっきまで乗っていた、配送用のトラックを探しに走ります。
坂道を降りきる手前でやっと配送中のトラックを見つけました。
「いたにゃ!」
「乗り込むにゃ!」
「どこへ行ってたんだい?」
「もう全部配送終わったところだから営業所に戻るぞ」
「運ぶにゃ」
「ん?もう全部配送し終わったんだぞ」
「まだあるにゃ」
「あっちに行くにゃ」
「こっちにゃ」
ドライバーは黒いにゃー。の言う通りにトラックを走らせます。
「ここにゃ」
「ここに行くにゃ」
「ここがどうしたんだい?」
「キキさんが困ってるにゃ」
「キキさんの荷物を運ぶにゃ」
「キキさんのところに行くにゃ」
ドライバーはわけもわからぬまま、アトリエのインターホンを鳴らします。
アトリエの中からは画家のキキさんが焦り疲れた顔をして出てきました。
「あら…、さっきのネコちゃん」
「このネコが、ここに来る仕草をしたものですから、ちょっと来てみたのです」
ドライバーは弱った顔をして
「何か荷物はございますか?」
と聞きました。
「実は…。この絵を展覧会の会場まで運ばなくてはならなくて…」
「絵ですか…。うーん、まいったな」
「やっぱり運べませんよね」
「にゃー!!」
「そうだ。美術品を運ぶ専任スタッフが今、どこにいるか聞いてみますね」
「もしもし…」
ドライバーは電話をかけ終わると笑顔で
「大丈夫」
「近くに美術品を運ぶ専任スタッフがいるので、今からこっちに向かってもらいます」
「安心して下さい。明日に届けられますから」
画家のキキさんの顔がみるみる明るくなって、黒いにゃー。を抱き上げました。
「ネコちゃんが連れてきてくれたのね。ありがとうね」
**
翌日。約束通り、展覧会の会場にキキさんの絵が届けられました。
展覧会の会場では、キキさんの絵の下に黒いにゃー。がちょこんと座り、誇らしそうな顔をしていました。
———
画家 キキさん(伊藤久美子さん)のサイトはこちら。
と
http://kiki.kumiko-ito.com/?eid=875127
キキさんの大好きな場所が七里ヶ浜なので、七里ヶ浜から上った先辺りをイメージ。
7月7日 朗読を追加。
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