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KAMOME.ORG  “Shige-san’s Collection”

ヨコハマ・ベイ・パーク・ストーリー:第2話 -14 author:松戸

※このシナリオはフィクションであり、実在の人物、団体などとは一切関係ありません。

 
○36元町・ル・シュマン

マスターが新しく煎れたコーヒーを、ユキの前に出す。
ユキ、マスターに軽く会釈。

ユキ「よく双子と間違われるんですけど、ひとつ違いの姉妹なんです。私たち・・・」

ユキ「子供の頃に両親がひどく憎しみあって離婚して・・・結局、親権を争って、妹は母の元へ、私は父に引き取られることになりました」

ユキ「正直に言うと、母の元へ行く妹が羨ましかった・・・でも、そんなこと言えなかった。私もお母さんの方に行きたいなんて・・・」

ユキ「妹はそんな私の気持ちを知っていて、別れ別れになる寸前まで、2人で抱き合って泣いていました」

ユキ「それから父と母はそれぞれ再婚して、15年も音信不通だったんです、私たち姉妹・・・」

ユキ「父は私を溺愛していて・・・それが新しい継母には気に入らなかったんだと思います。家で出されるご飯が残り物だったり、小さなことでも酷く怒られたり・・・はじめは虐待だなんて思ってもいなかった・・・」

ユキ「継母からのいじめが明白になってくると、私は中華街の祖父母の元へ移され、母の元へ行った妹のことを羨むようになってしまいました・・・だから・・・」

チャゲ、片方の細い眉を上げる。

ユキ「妹から15年振りに連絡があったときも・・・末期のがんだと知らされたときも・・・」

うつむいたユキの目から、涙が握り締めた手の上に落ちてゆく・・・

ユキ「でも・・・ある日、車椅子のチャゲさんに出会って・・・もう、見て見ぬふりはやめようって思ったんです・・・」

チャゲ「ユキさん、このアキオも同じように悩んでいるんだよ」

ユキ「妹は・・・サキは、アキオくんに感謝していました・・・」

アキオ「!」

ユキ「辛くあたってしまったことを後悔しながらも・・・アキオくんには別の道を進んで欲しいと言っていました。だから・・・わざとアキオくんに嫌われるようなことを・・・」

M姐「それで闇金から借金を?・・・(ちょっと呆れ・・・)」

カーナシ「そんな~、そんな試し方ないやろ・・・(なんで関西弁?)」

チャゲ「結局最後は・・・アキオ自身が決めること・・・か」

全員がアキオを見る。

アキオ「俺は・・・俺は・・・俺は俺は俺は・・・」

アキオ「俺 は サ キ を 見 捨 て な い ! ! !」

がばっと立ち上がるアキオ。

アキオ「ユキさん、サキの居場所を教えてください!」

ユキ「サキは・・・未承認の抗がん剤治療を受けるために今日の飛行機でアメリカに・・・」

アキオ「!」

チャゲ「何時の飛行機よ!?」

ユキ「成田15時発のJALです」

壁の時計は、13時45分。

アキオ「俺、行きます!」

ダッとカウンターの隅に置いたヘルメットを取るアキオ。

カーナシ「ここから成田まで1時間じゃどう考えても無理だよ!」

チャゲ「いや・・・」

全員がチャゲを見る。

チャゲ「一人だけ、間に合わせられる奴がいる」

M姐、即座に携帯を取り出しダイヤル、すぐに繋がった!

M姐「山本!今どこ!!!」

 
○37 K3号狩場線

山本「お・は・ヨーーーーー!!!」

赤いZZ-R1400に乗って疾走している山本。ヘルメットのハンズフリーが聞こえるように若干速度をゆるめ、小さなスクリーンに伏せる。

 
○38 元町・ル・シュマン

M姐「今、狩場線!2分で来る!」

カーナシ「成田まで高速道で約100キロ。確かに、山本なら1時間・・・いや、30分で着くかも」

チャゲ「重要なのは死なずに着くこと。奴なら二人乗りでも確実だ」

ユキ「でも、そんな無茶な・・・」

チャゲ「確かに・・・でも元々100%の安全なんてない。アキオが自分のドカで走って行くリスクよりも確実」

店の外にズ太いインライン4のエキゾーストが響く。

カーナシ「来た!」

 
○39 元町・ル・シュマン 裏通り

山本「よぉぉ!アキオ久しぶりぃ~」

チャゲ、ヘルメットを被ったアキオの頭をチタンの杖でコンコンと叩く。

チャゲ「いいか?オマエもニーグリップだぞ!」

アキオうなずく。

カーナシ「生きて帰って来いよ!」

山本「はよ乗れ、アキオ。カーナシ、縁起悪いこというな!」

山本のZZ-R1400の後ろにアキオが跨る。

山本「ならいくでー!!!」

若干フロントを持ち上げたZZ-R1400が、猛々しく発進する。

Gベストの男「おお行ったぁ~!グースみたいだなぁ、山本」

M姐「あらいつの間に斎藤さん。それ、カーナシの時にも言ってなかった?」

カーナシ「ならいくでー!ってまさか奈良に向かってないよな?」

M姐「・・・カーナシ、おもしろーい」

カーナシ「そお?てへ~」

Gベストの男「アホか」

 
○40 某高速道路

アキオのモノローグ
ものすごい風圧。何キロ出てるのか分からない・・・とても前を見ていられない。
パッセンジャー・グリップを持つ手がすでに痺れ始めている・・・

ひたすら疾走する、二人乗りのZZ-R1400。

と、アキオの体に突然の圧倒的な減速Gが・・・

小刻みに前後タイヤがホイールロック・リリースを繰り返して停止する。

山本「事故や!」

山本の背中越しに始めて正面を見るアキオ。
そこには、道路を塞ぐ形に横倒しになっている数台のトレーラーが・・・

アキオ、呆然と見つめて・・・

 
scene 36-40:END

ヨコハマ・ベイ・パーク・ストーリー 目次 (帽子の男より改題)

ヨコハマ・ベイ・パーク・ストーリー:第2話 -13 author:松戸

※このシナリオはフィクションであり、実在の人物、団体などとは一切関係ありません。
 

○34-2 元町・ル・シュマン

店に入ってきた女性・ユキ。
サキと双子のようによく似ている。
黒スーツの男の前へ進み出ると、肩に掛けたバッグから取り出したのは、借用書の原本。
それをビリビリと二つに破った!

ユキ「サキの姉・・・ユキです。金融業者の人にここだと聞いて来ました。先ほど、お金は全額返金してこの借用書をもらってきました。もうお引き取りください」

黒スーツの男、ユキに救われた思いで立ち上がる。
黒スーツの男「ったく」
ホッとしたのを隠すようにふてくされた態度でそそくさとドアに向かう。ドアを開けて振り向き・・・
黒スーツの男「お前ら覚えてろよ!」

M姐「べぇー!」

ユキ「あなたが、アキオさんですね・・・」

アキオうなずき、
アキオ「サキは・・・サキは今どこなんです?」

ユキ「妹がご迷惑を掛けてしまったことはお詫びします。ですが・・・もう妹のことは忘れてください」

アキオ「!?」

カーナシ「そうだよな・・・」
急に冷めた感じで、カウンターに座りタバコに火を付けるカーナシ。

カーナシ「借金のことがカタ付いたんだし、もういいだろ?」

M姐「カーナシ、あんた!(何を・・・)」

アキオ「・・・」

チャゲ「ユキさん・・・だっけ?」

ユキ「チャゲさん・・・こんなところでまたお会いするなんて・・・みなさんにも、妹のことでご迷惑をお掛けしました」

チャゲ「よかったら話をしてくれないかな」

ユキ「お話するようなことは何も・・・失礼します」
背を向けて帰りかけるユキ。

チャゲ「見て見ぬふりをしていた・・・それ、妹さんのことだったんでしょ」

ユキの足が止まる。
 

- フラッシュバック -

○35東京港北病院・病室

病室のドアが開き、ベッドで寝ていた、やつれ顔のサキがふとベッドから顔を上げる。

サキ「・・・お姉ちゃん!」

ユキ「サキ!」

思わず駆け寄りサキを抱きしめる、ユキ。

サキ「お姉ちゃんごめんね・・・」

二人、号泣。

 
scene 34-35:END

ヨコハマ・ベイ・パーク・ストーリー:第2話 -12 author:松戸

※このシナリオはフィクションであり、実在の人物、団体などとは一切関係ありません。
 

○34-1 元町・ル・シュマン

カーナシ「会ったことあるかもぉ!?」

チャゲ「ああ、人違いでなければな」

アキオ「その人に会わせて・・・ください」

チャゲ、アキオの目を見て・・・

そこへ、ガチャリと入り口のドアが開く音。

黒スーツ男「オハよー!みなさん」

マスター「まだ準備中だよ」

黒スーツ男、マスター無視して店に入ってくる。

黒スーツ男「裏にカッコいいウンコ色のドカがあったんで~と思ったら、いたねぇ!アキオ青年クン!」

アキオ「・・・」

黒スーツ男「ささっと店出て話そうか?ああん?」

黒スーツ男、慣れ慣れしくアキオの肩に触れ、立ち上がらせようとする。

チャゲ「ちょと待った」

チャゲの手から、ビヨーン!とマジックハンドが伸びて、黒スーツ男の鼻をつまんだ。

黒スーツ男「てめ!なにしやが・・・ほげほがほげ・・・」

チャゲ「どーも取り立てが時代遅れすぎないか?よっぽど悪質なのかそれとも、オツムが足りないのか」

やっと鼻フックを払いのけた、黒スーツの男。

黒スーツ男「ざけんなぁぁぁ!」

チャゲめがけて蹴り入れようとするが、スッとチャゲの電動車椅子が下がって蹴りをよけた。

シャキーン!と日本刀を抜いたような金属音と共に、チャゲの電動車椅子からチタン製の杖が飛び出し、チャゲが左手に杖の柄を持った手をそのまま返して、バランスを崩した黒スーツ男の尻を、杖の先で「ちょこん」と突いた。

どーん!と黒スーツ男は肩から床に倒れ込む。

黒スーツ男、肩を押さえて顔を上げた先に、凄みのあるカーナシの顔・股間・顔のショット。

黒スーツ男「で、デカイ・・・(負けた)」

カーナシ「店ん中で暴れるのはイケてないゼオ。落ち着いて話さんかい!」

カーナシ、黒スーツ男を立たせ、M姐が持ってきた椅子に、黒スーツ男がドサリと座り込む。

カーナシ「何がデカイって?」と、M姐に。

M姐「コ・コ・ロだろ?(ニヤリ)」 

アキオ「・・・」

- 時間経過 -

テーブルの上に借用書のコピー。
金参百萬圓のローマ数字。

カーナシの声。
カーナシ「病院でサインしたぁ!?」

M姐「アキオのサインに間違いないんだこれ?」

うなずくアキオ。

黒スーツ男「でしょ?ですから先ほどからご説明させていただいているように・・・」

チャゲのマジックハンドが、黒スーツ男の顔の先まで延びる。

チャゲ「ふーむ・・・まったく」
何かを悟っている風なチャゲ。

そこへまた、ル・シュマンのドアが開く音が・・・

清楚な感じの女性が一人店に入ってくる。

アキオ「!」
思わず立ち上がる。

カーナシ、口をポカンと開けて女性を見つめる。

アキオ「サ、サキ・・・?」

scene 34:つづく

ヨコハマ・ベイ・パーク・ストーリー:第2話 -11 author:松戸

※このシナリオはフィクションであり、実在の人物、団体などとは一切関係ありません。

○29元町・ル・シュマン

チャゲ「しかし、この話に闇金業者が絡んでくるのが腑に落ちないな・・・」

M姐「アキオはその借金って知ってたの?」

首を横に振るアキオ。

アキオ「いや、突然黒服の男に連帯保証人だからって借用書見せられて・・・」

カーナシ「なんだよそれ!それじゃホントにサキちゃんが借りたのかどうか分からねえじゃん」

チャゲ「いずれにしても彼女を探し出せばはっきりするか・・・東京港北病院だっけ」

アキオ「はい」

M姐、チャゲ見てうなずき、携帯電話を取り出してダイヤルする。

チャゲ「ちょうどその病院に仲間の看護師がいる」

カーナシ「キャスリンか!」

アキオ「外人ですか?」

カーナシ「うんにゃ、山田キャスリン花子。帰国子女なんでキャスリンって名前なんだわ。なんでもアメリカではなんとかナースだったらしい」

M姐「ナースプラクティショナーだよ。・・・あ、キャスリン?」

○30東京港北病院・会議室

演壇に立つ白衣のキャスリン。数十名の看護師を前に研修を行った直後の様子。

キャスリン「メグミ!久しぶりじゃない。大丈夫、いま研修終わったとこだから・・・え?病院から抜け出した子?」

○31元町・ル・シュマン

M姐が電話でキャスリンに説明している。

○32東京港北病院・会議室

キャスリン「がん病棟は担当じゃないけど、その子のことなら報告会に話が上がってたなぁ。確か双子の子だよね?なんか訳ありで、他の面会者と会わないようにしてたらしいけど・・・」

○33元町・ル・シュマン

M姐「分かったありがとうキャスリン」

アキオ「サキに双子の姉妹・・・?」

カーナシ「知らないのか?」

うなずくアキオ。携帯電話を取り出し、サキに電話する。

自動音声で「・・・お掛けになった電話番号は現在・・・」

アキオの携帯を覗き込むカーナシ。待ちうけ画像にサキの写真。
カーナシ、アキオの携帯手に取って。

アキオ「あっ・・・」

カーナシ「おお、結構カワイイ子じゃん。ほら」

カーナシ、M姐とチャゲに見せる。

M姐「ホントだ」

チャゲ、その写真見て固まる。

カーナシ「どうした?チャゲ?」

チャゲ「・・・会った事あるかも」

チャゲとマスター以外の全員「!」

scene 29-33:END

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