2009-01-11 (日)
ピンポーン♪
「はーい」
「宅急便でーす」
「荷物こちらですね」
「毎度ありがとうございまーす」
「あら、カズオちゃんからだわ。何かしら」
「デジカメ?手紙も入ってるわ」
「なに、なに……?」
??
この荷物を受け取った方へ。
友達を辿ってカメラを旅にだしています。
あなたの住んでいる街や村の風景であるとか、私の住むところにはこんな珍しいものがあるよとか、
今日はこんな雲が広がっているよ。窓からこんな光景が見えるんだよとか、何か面白いものを撮って下さい。
写真を撮ったら、あなたの友達に送って下さい。もちろん、この企画を面白いと思ってくれそうな人がいいな。
そして、次の友達へと回してくれそうな人に送って下さいね。
あなたのもとに送られてくるまでに撮られた写真は見てくれて構いません。また、添付のノートに何か一言を書き添えてくれると嬉しいです。
2010年になったときに、ちょうどこれを手にしていたあなた。
あなたが旅の最後の方です。どうかカメラを帰路に就かせてあげてください。
カメラの送り先は、横浜市中区…
??
「面白いことをしてるわね」
「じゃあ、何か面白ものを撮ればいいのね」
「なにがいいかしら」
亜紀子は考えながら庭に出てみた。
「あっ。これ!」
亜紀子の家の庭からは「ふきのとう」が顔を出していた。
「もう春なのね」
「ふきのとうさん、こんにちは」
亜紀子は春の息吹に笑みが溢れ、ふきのとうの写真を撮った。
ノートには…
??
何を撮ろうか悩んでいたらふきのとうを見つけたので撮りました。
ここ長野でも春はもうそこまで来ているようです。
このデジカメも旅をしながら、春真っ盛りになり、夏がやってくるのでしょうね。
季節が巡り、次の冬には無事に横浜に戻れますように。
亜紀子
??
と書き込んだ。
「さあ、次は誰に出そうかしら」
「鹿児島のミチコちゃんにしましょう」
「鹿児島ならもっと春になっているはずよ」
亜紀子は箱にデジカメとノートを詰め、宅急便の伝票を記入していった。