続・暗闇と白い天井(1)
2月も終わりに近い寒い日の夜に代わる代わる看護婦さんが来てくれた。
「転院したらリハビリを積んで元気になるのよ」
彼女らのそんな声に僕は涙を流す。
救命救急センターから一般病棟に移ったときから僕のプライマリーナースとして受け持ってくれたTさん。いつも薩摩揚げを天ぷらだと言っていた九州出身のAちゃん。ちょっとでも時間が出来ると僕の病室に来てくれては、少しでも気を紛らわしてくれようとしてくれて、いつも明るい笑顔のKちゃん。僕の顔を見てはまつげが長い、可愛いと言ってからかっていたっけ。
この病院での最後の夜を過ごした。
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みぞれまじりの冷たい雨の降る日、朝から慌ただしい。
脳に致命的ダメージを受けたにもかかわらず、奇跡的に回復した青年は「俺とお前は不死身族同士なんだから頑張ろうぜ」と声をかけてくれた。
夜勤の看護婦が帰りがけに声をかけて励ましてくれる。日勤の看護婦も代わる代わる声をかけてくれる。
PTが「シゲよぉー、お前がこの病院にいる間に、何とか車椅子に乗せてあげたかったんだけど、かなわなかったなぁ。それがとても心残りだ」って言う。
ありがとうね。ありがとう。あのとき言えなかったけど、未だにその言葉は覚えているよ。
民間の患者輸送車に若いドクターも同乗し、 僕はストレッチャーのまま車に乗り込む。車の天井を見ながら、細長い小さな窓から空を見ながら車はくねくね道を走っていく。
僕はリハビリ専門の病院へと転院した。
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注:推敲なしで書きかけのものを公開してます。書き足し、書き直しあるのでよろしく。